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【生活図鑑】

年金制度の将来像(No.271) どう一元化? 国民的議論、工程が重要

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 年金制度をどうするのか? 各党をはじめ財界、労働界が制度改革を提案しています。基礎年金の国庫負担割合が2分の1となったものの、制度の抜本的な見直しは行われていません。主な案から年金制度の将来像を描き、制度改革を考えるうえで、押さえたいポイントを整理してみました。

 現在の年金制度は、一階部分として国民共通の国民年金(基礎年金)、二階は会社員、公務員など被用者(サラリーマン)を対象とした報酬比例部分からできています。保険料は自営業者が定額、被用者は給与から定率で支払います。給付の内容も異なり、職業によって制度が違っています。

●「完全」か「部分」か

 政府は、厚生年金と共済年金を統合する法案を提出したものの、約二年間実質審議のないまま、廃案となりました。何をどこまで一元化するかは、大きな焦点です。それによって社会保障の制度設計が決まると言っても過言ではありません。

 職業に関係なく完全一元化するのは民主、社民、国民新、連合などです。この特徴は、基本的に「所得比例年金+最低保障年金」制度になります。また、会社員世帯の専業主婦など保険料の負担がなく年金を受給する「三号被保険者」の解消につながります。

 民主は、従来、最低保障年金を年収六百万円超で減額、千二百万円超には支給しないとしていましたが、具体的な制度設計は政権担当後としています。「基礎的暮らし年金」の社民や、基礎年金に最低保障機能を持たせた連合も同じ制度設計です。二階部分を民営化する経済同友会と、国民新党も一元化と最低保障を打ち出しています。

 一方、自民、公明、共産などは、会社員の厚生年金と公務員の共済年金を統合する部分一元化を行います。

 そのうえで自民は、三年以内に無年金・低年金対策を行うとしていますが、具体策はこれから。公明は、低年金者対策として基礎年金を25%上乗せする加算年金制度を設けます。共産は全国民対象の月額五万円の最低保障年金制度を創設し、保障機能を高めました。

●最低保障機能の強化

 各案とも最低保障機能の強化を打ち出しています。しかし、新たに制度を設けるか、現制度を強化するのかで課題も違ってきます。

 最低保障年金制度は、基本的に税が財源となり、国民に一定以上の給付を保障するため、公的扶助の性格も持ち合わせます。このため、生活保護などとの調整が必要です。最低保障としてどれくらいの給付が必要なのかをはじめ、財源の配分、役割などを見直す必要があります。

 現制度を基本とした改革案では、最低保障制度を設けた共産を除き、いかに無年金・低年金対策を行うのかが重要になってきます。さらに年金だけでなく、ほころびの見える生活保護など社会保障のセーフティーネットをいかに強化していくかが問われます。

 このため、年金制度と生活保護などを統合し、新党日本のように新たに最低生活保障制度に一本化する案もあります。

 これ以外にも、(1)基礎年金などを税方式化した場合、企業負担分はどうなるのか(2)一元化や無年金対策を公平に行うためにも自営業者などの所得把握をどうするか(3)現在の世代間扶養をどのように考え、財政方式をどのようにするのか−などのポイントがあります。

 年金制度の改革は各国の例を見ても、国民的議論で十年近くかかっています。各案も財源の手当て、細部の制度設計を含め、実現には時間がかかるとしています。制度改革を着実に進めていくためにも、国民的な議論の機関設置や、改革の工程が重要になってきます。

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