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【生活図鑑】

介護の認定格差(No.274) 単身高齢者率と関係 社会でケアを

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 2009年4月から始まった要介護認定の新基準が批判を受け修正されるなど、介護認定のありかたは大きな問題です。要介護認定者の認定率は、認定者の多い長崎県と少ない埼玉県で約1.6倍の格差があります。厚生労働省も認定のばらつきを抑えるため、認定基準の見直しを繰り返してきました。なぜ、格差が生まれるのでしょう。その理由を探ってみると、一人暮らしの高齢者とのかかわりが浮き彫りになりました。

 厚労省の介護保険事業状況報告によると、六十五歳以上の介護保険加入者に占める要介護認定者の割合は、都道府県によって格差があります。〇八年十二月の認定割合は全国平均で16・6%でした。認定率が高い長崎県は21・1%だったのに対し、低い埼玉県は13・2%と、約一・六倍の格差がありました。

 認定率が高い県は長崎、徳島、和歌山などで、逆に低い県は埼玉、千葉、茨城でした。なぜ、介護認定に格差が生じるのでしょうか?

 まず、介護度に注目してみましょう。在宅介護中心の「軽度介護認定者」(要支援1から要介護2)と「中度介護認定者」(要介護3)、施設中心の「重度介護認定者」(要介護4、5)に分けて介護認定との関係を調べてみました。この結果、介護認定率と関連が深いのは、重度よりも軽度の介護認定率でした。

●軽度認定率と比例

 介護認定率が高い都道府県は、軽度の介護認定率も高く、逆に低いところは、軽度認定率も低い関係にあります。

 軽度の介護認定率の格差は、最も高い長崎県と低い茨城県で一・九倍もあります。なぜ軽度介護認定率に格差が生まれるのでしょうか。

 理由としてよく挙げられるのが、地理的な問題です。離島や半島が多いと認定率が高くなり、都市部であれば低くなるという仮説です。

 この仮説について長崎県は「軽度などの認定率が高いといわれるため、県として調査したところ、地理的条件はあまり関係がなかった」として、認定率が高い理由は「不明」としています。

 そこで、介護状態になりやすいとされる一人暮らしの高齢者との関係を調べました。

 国勢調査(〇五年)から都道府県別の高齢単身世帯率と軽度介護認定率の関係を見ると、軽度介護認定率が高い都道府県は、一人暮らしの高齢者割合が高く、低い都道府県は高齢者割合も低い傾向にあります。全体の介護認定率と高齢単身世帯率の関係も同じです。

 介護認定の格差を生む一つの原因として、一人暮らしの高齢者比率が大きく影響しているようです。

●引きこもりがちに

 介護予防の導入の際に行った厚労省の委託研究でも、一人暮らしの高齢者は外出なども控えめになり、心身機能が低下し、介護の必要度が高まるとの結論でした。

 地域コミュニティーの崩壊や、自治体の財政状況難もあり、高齢者、とくに一人暮らしの人へのケアが行き届かず、孤立している姿が浮き上がってきます。

 今後、日本は一人暮らしの高齢者割合が増加していきます。認定の増加や格差を解消するには、高齢単身世帯への充実した社会的な支えが必要です。

 制作・亀岡秀人

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