東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 生活図鑑 > 生活図鑑シリーズ・バックナンバー > 2009年の記事一覧 > 記事

ここから本文

【生活図鑑】

後期高齢者医療制度廃止(No.281) 国保、被用者保険 別々に運用か

写真

 後期高齢者医療制度について、長妻昭厚生労働相は「廃止」を名言し、2013年度に新制度に移行させる方針を示しました。将来は国民健康保険と被用者保険を統合した「地域医療保険」への一本化が検討されています。

 国民医療費は増加の一途をたどっており、二〇〇七年度には三十四兆円を上回りました。内訳は六十五歳以上が五割を超え、特に七十五歳以上が全体の約三割を占めています。その七十五歳以上を対象とする後期高齢者医療制度は〇八年四月に施行されました。

 従来は、高齢者は国民健康保険(自営業者ら)か、勤めている場合は被用者(サラリーマン)保険に加入したまま医療を受け、老人保健制度で財政調整するしくみでした。しかし現行制度は七十五歳以上の高齢者を国保や被用者保険から切り離し、独立した制度に移行。保険料負担を従来の世帯単位から個人単位に切り替えたため、被扶養者として保険料を支払っていなかった人にも負担が発生しました。激変緩和措置も取られましたが、後期高齢者という名称とも相まって国民の反発が起こりました。

●「突き抜け方式」が有力

 政権交代後、長妻昭厚生労働相は「年齢で区分して一つの保険制度に入れるのは無理がある」として、同制度廃止の方針を示しました。新制度への移行は一三年度とされており、それまで現行制度が維持されます。

 新制度の設計で示されている基本方針は▽老人保健制度には戻さない▽年齢で区分しない−の二要素です。これまで高齢者医療制度についてはさまざまな案がありました。このなかで基本方針に合うのは「突き抜け方式」です。国保加入者は高齢になっても国保で担い、退職した高齢者は被用者保険が支える退職者の医療保険制度に加入するしくみです。これを経て国保と被用者保険を統合した「地域医療保険」へ移行する案が有力とされています。

 課題もあります。被用者保険では健康保険組合、協会けんぽ、共済などで財政基盤が違い、調整が必要です。一方、国保の運営は現在、市区町村単位で、後期高齢者医療制度は広域連合です。さらに、効率的に運用するには都道府県単位に広げる案もあり、保険者を含め、運用単位の検討が求められます。

 また、国保は従来、無業者や高齢者の加入率が高く財政的に困難な状態でした。このため、民主党は「後期高齢者医療制度の廃止に伴う国保の財政負担増は国が支援する」と表明しています。

●将来は「地域保険」へ

 さらに将来、「地域医療保険」で統合しても、地域間の保険料格差の調整など、課題は山積しています。また、いずれの場合も、現行制度でいったん個人単位となった高齢者の保険料負担を再び世帯単位に戻すのかも問われます。

ご注文はこちらから
 

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報