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【生活図鑑】

障害者自立支援法廃止へ(No.292) 一律を見直し所得に応じた負担へ

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 利用者負担が重くなったなどの声を受け、政府は障害者自立支援法を廃止します。障害者が自立支援法は違憲であると訴えた集団訴訟では、国が2013年8月までに新法を制定することで基本合意しました。なぜ、障害者自立支援法を廃止するのでしょうか?

 障害者自立支援法は、障害者サービスの向上と、地域間の格差の是正などを理由に〇六年度からスタートしました。しかし、サービスを受けるには、従来の負担能力に応じた応能負担から、使ったサービス料に応じてかかる応益負担になり、とくに重度の障害者ほど負担が重くなるなどと批判が出ていました。

 〇八年十月以降、全国で計七十一人が「生存権の保障などを定めた憲法に違反する」などと提訴。政府は負担軽減策を実施したものの、問題点を指摘する声は絶えません。

●低所得者は94%

 支援法実施で利用者負担額がどのようになったか? 厚生労働省の初調査(札幌、千葉市など五自治体の〇六年三月と〇九年七月の負担額などを比較)によると、調査対象の身体、知的障害者などの87・2%で負担増になりました。なかでも低所得者の93・6%で負担額が増えました。

 全体の平均負担額は六千七百五十一円増加し、二万一千六百六十六円。低所得者は七千六百三十二円増加し、二万二千七百六十八円でした。

 日中活動系サービスなどでは、施設や作業所で働いて工賃を得る一方、施設利用料などの費用も負担しています。利用料を含めたサービス費用の実負担は増加したのに対し、工賃はほぼ横ばいでした。支援法実施前は、工賃が実負担額を上回っていました。〇九年七月は逆に下回る結果になっています。

 工賃でサービスの実負担額を賄えないと、障害基礎年金など他の収入から取り崩すことになります。実負担額が工賃を上回る人の割合は〇六年は31・4%でしたが、〇九年には52・5%と半数を超えています。

 長妻昭厚労相は「予想以上に負担の増えた方が多い」と指摘。一〇年度予算に低所得者の福祉サービスを無料化する軽減策を盛り込みました。

●制度を集中改革

 障害者団体は、応益負担の撤廃など負担軽減策やサービスの充実を求めています。とくに精神・知的障害に対応したヘルパーが足りないほか、施設の定員が少なく、サービスが利用できないなども挙げられています。

 政府は「障がい者制度改革推進本部」を設置し、国連の障害者権利条約を批准するため、国内法を整えるほか、障害者制度の集中改革を行うとしています。

 また、違憲訴訟の和解では、国が速やかに応益負担を廃止し、一三年八月までに自立支援法に代わる新たな法整備と総合的な障害者福祉制度を実施することを明記しました。

 従来、「障害者政策に障害者の声が十分に届いていない」との批判がありました。このため、推進本部などでは障害者参加の下、制度の整備を進めることにしています。

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