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【生活図鑑】

小1の壁とは(No.301) 「預かり」短く勤務長く…ニーズに逆行

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 子どもが小学校に進むとき、働く親は「壁」に当たるといわれます。子どもの居場所となる学童クラブなどの開所時間が保育所より短くなる上、職場で時間短縮勤務が認められるのは乳幼児期が中心となっているためです。放課後の子どもの居場所の確保とともに、親が子どもの生活にかかわれるよう、男女ともに長時間勤務の是正が必要です。

 子どもの年齢別に母親の仕事(就労)の有無を調べた厚生労働省の調査では、子の成長に伴って就労する割合が増えています。しかし五歳から六歳にかけてのみ減少します。背景には「小一の壁」があると考えられます。

 壁はなぜできるのでしょう。小学校入学の前後で共働き、ひとり親世帯の子育て環境は大きく変わります。保育所では日中同じ環境が提供されますが、入学すると午後には授業が終わり、子どもは放課後を別の場所で過ごします。その場所として、保護者が昼間家庭にいない児童を対象とした「学童クラブ」と、全児童が対象の「放課後子ども教室」があります。

●入学後に落とし穴

 保育所では都市部を中心に夜遅くまで開いている施設も増えています。ところが学童クラブは午後六時までに半数以上が終了します。入学すると保育時間が短くなるケースも少なくありません。さらに、希望しても学童クラブに入れない待機児童が一万一千人以上います。

 また、保護者の就労が前提の保育所とは違い、小学校では授業参観やPTA活動など保護者が平日の昼間に学校に行く機会も出てきます。家庭でも宿題の面倒を見るなど乳幼児期とは異なるかかわりが必要となります。

 一方、育児のための勤務時間短縮制度の実情を見ると、就学後も利用可能な職場は8・4%にとどまります。そもそも同制度がない職場が半数以上です。今年六月に施行される改正育児・介護休業法は子どもが三歳になるまで、職場に同制度の導入などを義務付けます。しかし三歳以降はフレックスタイム制の導入などが努力義務となるのみ。乳幼児期の両立支援整備は始まったものの、入学後の課題は見落とされているのが現状です。

●ビジョンが必要

 「子どもの放課後を考える」(勁草書房)の編著者で日本総合研究所主任研究員の池本美香さんは「注目されないうちに問題が深刻化している。欧米では放課後対策は教育・福祉の一環と位置付けられているが、国内では『人づくり』のビジョンがないままに居場所だけが議論されている」と指摘。「放課後は学校の授業とは異なる体験をして学習意欲を高める時間で、保護者のかかわりも必要だ」と話します。

 小一の壁は単に学童クラブを延長すれば解決する問題ではありません。保護者が子どもの生活にかかわるには、長時間労働の是正が不可欠です。

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