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【生活図鑑】

学生納付特例事務法人(No.302) 「手続き負担」に大学など及び腰

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 学生の無年金を防ぐため、大学などで国民年金保険料を猶予する学生納付特例の申請を受け付ける制度がスタートして2年になります。しかし、事務手続きの負担などを理由に、制度に参加したのは、北海道大、福井大など国立では5校にすぎません。また、公立、私立、専修学校を含めても2009年8月末でわずか104施設・法人にとどまっていることが判明しました。

 学生も二十歳になれば国民年金に加入しなければなりません。しかし、大半の学生は収入もなく、保険料を納めることが困難です。このため、学生の所得に応じて在学中の保険料を十年間猶予する「学生納付特例」制度があります。

 手続きは原則、住民票のある市区町村で行うか、郵送する必要があります。実家を離れて大学に通う学生には負担も大きく、「面倒くさい」などの理由で手続きを行わないケースもあります。

 申請は毎年度必要で、手続きを行わなければ保険料未納扱いになります。最悪の場合、障害を負っても障害年金を受け取れないなど、無年金状態に陥ってしまいます。

●要請されたものの…

 〇八年四月から大学、短大、高等専門学校、専修・各種学校などで、厚生労働省から事務法人・施設として指定を受ければ、学校で学生納付特例の申請を受け付けることができるようになりました。

 当初こそ「学生のためなので前向きに検討する」との大学も多くありました。しかし、ほとんどの大学がいまだに指定を受けていません。

 〇九年八月末で事務法人や事務取扱の指定を受けたのは百四施設・法人にとどまっています。

 具体的には、国立大学八十六校のうち指定を受けているのは北海道大学、小樽商科大学、東北大学、福井大学、愛媛大学の五校のみ。公立大学は九十二校のうち、茨城県立医療大学など十校、私立大学でも五百九十五校のうち、愛知学院大学、四日市大学など二十七法人にすぎません。残り六十二施設・法人は専修・各種学校、大学校などでした。

 指定を受けない理由としては、事務作業の煩雑さや申請ミスなどのリスクを挙げます。福井大は「人員の配置などで、申請手続きの負担も大きい。大学も法人化して予算が厳しいので、財政援助などが必要だ」と指摘します。

●学生への年金教育を

 大学、専修学校生は二十歳未満の学生も含め約三百五十万人。うち、学生納付特例を受けているのは約百七十万人。また、二十〜二十四歳の保険料納付率も約50%にすぎません。

 学生の中には、学生納付特例を含め年金のことを知らない、または知っていても未納の人がいると考えられます。

 積極的に学生の手続きを行う北海道大では「これまで百五十件ほどの窓口への問い合わせ・相談を受けた。大学での申請はないが、本人に来た申請書と返信用封筒で(自治体へ)直接送付した」とし、郵送するしくみを利用すると、予想したほど事務負担は増えなかったとしています。

 パンフレットの掲示・配布、ホームページへの掲載で「学生の年金への関心も高まっている」と指摘しています。

 指定制度に及び腰の大学の現状は、年金教育についての現状を表した格好ともいえます。学生は在学中に年金の強制加入になることを考えれば、大学など高等教育機関の姿勢が問われます。

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