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【生活図鑑】

受給漏れ229万世帯 問われる生活保護(No.307) 世帯の約1割 新たにリスク

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 最後のセーフティーネット(安全網)である生活保護。しかし、所得や預貯金などの蓄えが生活保護基準を下回る世帯が337万世帯にのぼり、うち108万世帯しか保護されていない(保護世帯比率32%)ことが厚生労働省の国民生活基礎調査をもとにした試算で分かりました。母子世帯や、高齢者世帯で基準を下回る割合が多く、厳しい状況がうかがえます。新たに生活保護に陥る可能性がある世帯も10%前後あり、セーフティーネットのあり方が問われています。

 生活保護は最後のセーフティーネットと呼ばれています。しかし、非正規労働者の増加や、年収二百万円未満の世帯の増加などから、生活保護基準未満の世帯がかなりあると指摘されていました。

 生活保護を受けるには、世帯収入や預貯金が最低生活費に満たないなどが目安です。さらに、原則、資産は処分して生活費に充てる必要があります。

 これを前提に、各地の生活保護の生活扶助などの最低生活費と、二〇〇七年の国民生活基礎調査から最低生活費未満の所得世帯数、うち貯蓄が最低生活費の一カ月分未満である世帯(生活保護の資産要件を満たす世帯)数を試算しました。

 この結果、四千八百二万世帯のうち、最低生活費未満の世帯は五百九十七万世帯(全世帯の12・4%)でした。所得だけで見ると、生活保護基準未満の世帯は、生活保護をすでに受けている百八万世帯を加え約七百万世帯でした。

 さらに五百九十七万世帯のうち、生活保護の資産要件を満たすのは二百二十九万世帯(同4・8%)でした。ただ、基礎調査では住宅ローンの有無が分かりません。住宅ローン有りは住宅資産を持っていることになり、保護の基準に該当しない場合もあります。

 住宅ローンの有無が分かる〇四年の全国消費実態調査をもとにした試算では、生活保護の資産要件を満たす世帯は四十五万世帯(同1%)、保護世帯比率は68・4%という結果でした。

 しかし、生活保護を受けられるのに受けていない可能性が高いとして、厚労省は生活保護の適正な認定を徹底していくとしています。

●母子世帯など厳しく

 最低生活費未満の世帯や生活保護の資産要件を満たす世帯では、単身の高齢者世帯と母子世帯の割合がともに高くなっています。

 単身高齢者世帯は今後も増加するとされ、高齢期の生活保障の重要性が高まっています。また母子世帯は、世帯収入二百万円未満が七割を超えるなど、支援の必要性が指摘されています。

 もともと、生活保護を受けている世帯でも高い割合で、あらためて厳しい現状がうかがえます。

●社会保障の再構築を

 今回の試算で注目されるのは、最低生活費未満の世帯が多いということです。消費実態調査でも、最低生活費未満の世帯は三百十一万世帯(全世帯の6・7%)でした。

 試算では、最低生活費に医療費などが含まれていません。病気や失業などに陥れば、直ちに生活保護の要件を満たします。両調査から見れば、全世帯の10%前後が生活保護に陥る可能性があることになります。

 不況の影響で雇用環境は厳しく、働ける世帯でありながら、突然の失業で生活保護を受ける例なども増えています。最後のネットにかかる負担も大きくなっていると考えられ、生活保護だけでなく社会保障全体のセーフティーネット再構築が必要です。

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