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【生活図鑑】

個人労働紛争(No.318) 利用増える裁判外の解決制度

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 厳しい雇用情勢のなか、解雇や賃金引き下げなど、労働者個人と事業主間での個別労働紛争が増加しています。紛争解決手段として裁判に訴えるほかに、労働局や労働委員会、労働裁判などで解決する制度があります。主な裁判外解決制度をまとめました。

 労働者の解雇、賃金引き下げなどは個別労働紛争と呼ばれます。従来は、裁判での解決が図られていました。しかし、解決までに時間がかかるなどの問題があり、裁判外の解決制度の利用が増えています。

●労働局

 労働局は、労働相談などの窓口としても身近な存在です。労働局長による助言・指導ないしはあっせんが行われます。あっせんは学識経験者によって行われます。

 都道府県労働局で受けた解雇など民事上の相談件数は二〇〇九年度、二十四万七千件と過去最高でした。相談内容は解雇に関するものが24・5%と最も多くなっていました。パート・アルバイト、期間契約社員の相談件数が増加しています。

 一方、都道府県労働局長による助言・指導の申し出件数は七千七百七十八件と増加。あっせん件数も七千八百二十一件と高止まりしています。

 あっせんは紛争調整委員会が指定した一人の委員で原則一回のみです。また、相手側が不参加の場合、あっせんできません。

 東京、埼玉など六都府県では、労働局以外に労政主管部局等(労政事務所)もあっせんを行っています。

●労働委員会

 労働委員会は、従来、労働組合活動で不当に扱われたなどの労働問題を扱っています。都道府県ごとにあり、労働者、使用者、公益委員の三者で進められます。個別労働紛争へのあっせんは、東京、兵庫、福岡を除く四十四の委員会で実施しています。

 〇九年の個別紛争のあっせん件数は過去最高の五百三十四件(前年比約20%増)でした。

 一方、労組と使用者の紛争の取扱件数も七百七十三件と急増しました。独立行政法人などの案件を除いた七百三十件のうち、企業の枠を超え、地域単位で加入できる合同労組の案件が急増。しかも、労働者が解雇された後に合同労組に加入し、あっせん申請を行う「駆け込み訴え事件」が増加しました。

 合同労組案件は、組合と使用者の紛争に区分されるものの、内容は解雇など個別労働紛争と考えられます。

●労働審判

 〇六年度から始まった労働審判の利用も都市部を中心に増加しています。〇九年の労働審判事件(既済)は三千二百二十六件と過去最高でした。制度発足から一〇年四月までの件数は八千三百十八件になっています。

 労働審判は、裁判所で職業裁判官と労使の専門家によって審理され、原則三回以内で解決する制度です。これまで97%が三回以内で、審理期間も73%が三カ月以内でした。

 労働委員会や労働局のあっせんは相手側が参加しない場合、不調になります。労働審判では不出頭に対しては罰金が科されます。審判結果に異議がない場合は、裁判上の和解と同じ効力を持ちます。このため、84%が弁護士を代理人として申し立てていました。

 利用の増加に応じ、担当裁判官の増員や地裁支部での申し立て受け付け拡大などの課題も挙がっています。

 制作・生活図鑑担当

 編集・亀岡秀人

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