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【生活図鑑】

消費税 引き上げ議論は(No.319) 「逆進性」「景気」など課題が山積

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 先の参院選では、消費税率の引き上げが一つの争点になりました。ほとんどの商品、サービスにかかる大型の間接税だけに、引き上げは国民生活に大きな影響が出ます。

 消費税は税目別では所得税に次いで税収が大きく、この二つに法人税を合わせて基幹三税といわれます。

 このうち消費税は1%で約二・四兆円の税収がある大型間接税で、財政赤字に悩む当局の期待は大きいのです。消費税のような付加価値税の本場、欧州諸国の税率は平均で20%程度ですから、財政当局は十分に引き上げる余地があると考えています。

●国には税収の5割強

 消費税が導入されたのは一九八九年度からですが、九九年度からは毎年度の予算総則で、使途が基礎年金、老人医療、介護という福祉目的に限られています。特別会計を設けての厳密な福祉目的税ではないものの、事実上、福祉目的化されているとはいえます。

 二〇一〇年度予算の場合、消費税収が充てられるとされている歳出は一六・六兆円です。これに対して、私たち国民が負担し、事業者が国に納めている消費税等は一二・一兆円です。ただ、そのうち二・五兆円は地方税の地方消費税で、国税の消費税九・六兆円のうち29・5%は地方交付税交付金として地方に回されるため、国が使えるのは残り六・八兆円です。

 その差は九・八兆円あり、仮に先の参院選で菅直人首相や自民党が主張したように税率を現行の5%から10%に引き上げたとしても、国と地方の配分比率が現行のままなら、消費税収の国分は、やはり全額がこれら福祉に使われることになります。

●欧州では軽減税率も

 ただ、問題があります。消費税のような間接税は、所得税のような累進課税の直接税に比べて「逆進性」があります。所得の多少にかかわらず税率が一定のため、低所得者ほど実質的負担が重く、高所得者ほど負担が軽いのです。間接税でも、酒税やたばこ税は特定の嗜好(しこう)品だけにかかりますが、消費税は生活必需品をはじめ幅広く商品・サービスにかかるので、影響が大きいのです。

 先の参院選では、逆進性緩和のため、菅首相は生活必需品の軽減税率や低所得者に対する還付などの方法を挙げました。

 軽減税率は欧州諸国などで多く実施されています。

 食料品、旅客輸送、医薬品など生活必需品や、新聞、雑誌、書籍など文化や言語にかかわる商品については標準税率より低く設定されています。どの品目を軽減の対象にするかが問題です。

 還付については、具体例は多くありませんが、菅首相の念頭にあったのは、カナダで実施されている「給付付き税額控除」とされています。所得税や住民税を払っていない課税最低限以下の低所得者に、消費税分を「給付」する方式です。

 ただ、納税者番号制の実施が前提とされるなど、実現は簡単ではありません。

 どちらも、税率を引き上げる割には税収が増えないというネックもあります。

 もう一つの問題は景気に対する影響です。九七年度に税率を2%引き上げた時は、既に進んでいた景気後退を加速させ、「戦後最悪の不況」を引き起こしました。景気への目配りは欠かせません。

 制作・川北隆雄

 デザイン・川端乙大

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