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【生活図鑑】

ストレスと労災(No.326) いじめ、嫌がらせなどで請求増加

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 職場でのいじめや嫌がらせ(ハラスメント)によるストレスが問題になっています。2009年に基準が改正され、いじめなども労災認定の判断基準に加わりました。労災自殺など勤務問題を原因とする自殺者数も急増。厚生労働省の検討会でも健康診断での労働者のストレスの確認、医師の面談を行うしくみの整備を提言するなど、職場のストレス対策が求められています。

 労働災害は、業務に伴うけがや死亡事故を連想しがちです。ところが近年、過重な労働や仕事のストレスによるうつ病、適応障害などの精神障害が増えています。

 厚生労働省によると、精神障害などによる二〇〇九年度の労災の請求件数は千百三十六件で初めて千件を超えました。このうち自殺による請求件数は百五十七件。労災が決定した内訳をみると、二十代、三十代が約55%を占めています。

●判断指針に12項目追加

 〇九年度に請求が伸びたのは、厚労省が〇九年四月に十年ぶりに労災基準を見直し、いじめなど十二項目を新たに追加したことなどが影響したとみられています。

 精神疾患の労災は「心理的負荷評価表」と呼ばれる基準で審査されます。この項目が、〇九年に追加、修正されました。

 具体的には、上司の暴言や無意味な作業の強要など「ひどい嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」場合は、最も強いストレス(強度3)を受けたと判断されます。「重大な仕事上のミスをした」や「退職を強要された」も同様です。

 犯罪行為などの隠ぺいなど「違法行為を強要された」場合や「達成困難なノルマ」「複数で行っていた業務を一人で行うことになった」などは、強いストレス(強度2)がかかったと判断されます。また、「仕事上の差別、不利益取り扱い」については「非正規社員であるとの理由等により」の表現が加わりました。

 「早期退職制度の対象となった」「同一事業場内での所属部署が統廃合された」「研修、会議等の参加を強要された」などはストレス(強度1)がかかったとされます。

 長時間労働と関係が深いのが過労です。くも膜下出血や心筋梗塞(こうそく)など脳や心臓の病気に結びつき、過労死につながることも少なくありません。

 過労死は月八十時間以上の残業が目安とされ、四十代、五十代に多く、労災請求件数も高止まりしています。

●健診など対策急務

 警察庁の統計によると、過労自殺など勤務問題を原因とする自殺は〇五年から急増。大きな社会問題になっています。

 すでに労働安全衛生法では、長時間の残業を行った労働者から申し出があれば、医師による面接指導を受けさせる義務を企業に課しています。また、企業の定期健康診断(一次健康診断)で過労死などにつながる脳・心臓疾患のおそれ(異常の所見)がある場合、労災保険から追加の健康診断や保健指導を受けられる「二次健康診断等給付」もあります。

 働く人の心の健康(メンタルヘルス)を保つ施策の強化も検討されています。厚労省の「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」や、「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」では、定期健康診断で精神的な不調を訴える人を医師が確認、必要な場合は産業医が面談し、労働時間の短縮などの対策を行うことを求めています。効果的な対策が待ったなしです。

 制作・生活図鑑担当

 編集・亀岡秀人

 デザイン・刀祢絢子

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