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【生活図鑑】

所得格差(No.329) 高齢者、単身世帯が増え拡大

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 所得格差が広がっています。厚生労働省の調査では公的年金などを除いた当初所得の格差は過去最大になりました。高齢者や単身世帯の増加が理由とされています。

 厚労省の所得再分配調査(調査時点〇八年)によると、公的年金などを除いた当初所得のジニ係数(不平等度を測る指標)は〇・五三一八と過去最悪になりました。前回(〇五年)、〇・五を初めて上回り、今回さらに格差が広がりました。

 しかし、〇・五三といわれても分かりにくいものです。そこで、所得格差を判断するため、五つの所得グループ(それぞれの世帯数は同数)に分けて、それぞれ全所得に占める割合を試算してみました。

 すると、最高所得グループの所得比率は、全所得の52・9%を占めていました。これに対し、最低所得グループは端数処理の関係で前回調査に続き0%でした。

 最高所得グループと最低所得グループの所得に占める割合の格差(倍率)は、前回に続き無限大という結果です。格差は構造改革が叫ばれた時期から急激に拡大、その後も非正規労働や格差社会が是正されないことを反映した結果とも考えられます。

 一方、社会保障や税による所得再分配効果も過去最大になりました。当初所得から税金、社会保険料を控除し、社会保障給付を加えた再分配所得のジニ係数は〇・三七五八になり、改善度は29・3%にもなりました。

●世帯人員数が影響

 所得格差が広がったことについて厚労省は、単身世帯の増加や高齢化を挙げています。

 ジニ係数は世帯単位で不平等度を指数化します。このため、高齢化や世帯の人数の影響を受けやすい傾向にあります。

 まず、高齢者世帯を見ると、ジニ係数は当初所得で〇・八〇七三と、全体平均の〇・五を大きく上回っていました。また、世帯人員別のジニ係数は単身世帯が〇・六五三六、二人世帯が〇・五九七四と、人員の少ない世帯ほど悪化する傾向にあります。

 高齢者世帯は、子育て世代に比べ、世帯人員も少ない。ジニ係数を基にした所得再分配調査では、少子高齢化が格差拡大の理由として指摘されています。

●社会保障のあり方は

 一方、世帯人員の影響を少なくするため、世帯単位ではなく、世帯員単位で見てみましょう。社会保障給付などが加わった再分配所得が当初所得を上回るのは、六十歳以上です。とくに七十五歳以上で再分配された所得が多くなっています。現役世代から社会保障・税を通じて、高齢世帯へ所得移転していることが示されています。現役世代と高齢世代の世代間格差が話題になるなか、これをどう考えるのか?

 ただ、年金は高齢期の所得を保障し、医療サービスも七十歳以上で受ける機会が多くなります。単純に世代間格差というだけでなく、社会保障のあり方を含めた議論も必要です。

 制作・亀岡秀人

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