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【生活図鑑】

労働生産性 日本人は怠け者か(No.331) 「非正規」増 時間減らず伸び悩み

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 日本は効率のよい国だというイメージがあります。しかし、労働生産性が低下している、と指摘されています。かつて日本人は働きすぎといわれていました。一体、何が問題なのでしょうか?

 労働生産性は、労働によって、どれくらいの価値が生み出されたかを示す指標です。

 一般には、労働の時間あたりで生み出された価値とされます。例えば、付加価値として国内総生産(GDP)を分子に、就業者数と労働時間の積を分母にして求めます。国際比較では労働時間の比較が難しく、分母を就業者のみとする場合もあります。

 では、それぞれを見てみましょう。時間あたりの労働生産性は、経済協力開発機構(OECD)によると二〇〇九年で米国を一〇〇とした場合、日本は六六・六にすぎず、先進国で最下位です。就業者あたりで見ても、〇八年は加盟三十カ国中二十位でした。

 生産性が低いことは、国際競争力の観点から問題です。生産性が低いのは労働者が怠けているためでしょうか? 

●賃金、生産性とも低下

 生産性の議論には製造業と非製造業の比重など産業構造の問題も指摘されています。ここでは、労働者全体の問題に焦点を当ててみます。

 企業が生産性を上げるため、まず行ったのは正社員から派遣、パートなど非正規労働者の雇用への切り替えでした。これにより、労働コストは低下しました。

 しかし、就業者は正社員とパートで労働時間が違っても、一人として計算されます。このため、雇用者に占める非正規比率が上昇し、GDPが伸び悩む中、就業者あたりの生産性が低下した一因になりました。

 日本生産性本部の木内康裕主任研究員は「非正規雇用の拡大が生産性の伸び悩みの一因になったことは否めない」と指摘します。

 さらに、年間の平均労働時間は以前に比べれば減少したものの、先進国の中では長い状況です。これも、時間あたりの生産性を押し下げる要因の一つです。

 一方、賃金など時間あたりの製造業の労働コストを見ると、先進国の中で最も低く抑えられています。にもかかわらず生産性が低いのは、非正規労働者の増加で時間あたりコストは低下しても、長時間労働が続き、効率の悪い働き方になっていると考えられます。

●正規雇用の拡大を

 では、どのようにすればよいのでしょう? 例えばドイツは、年間労働時間で日本より短く、労働コストを日本の一・七倍もかけています。それでも、生産性は日本より時間あたりで一・四倍も良い結果です。

 国際労働機関(ILO)の中嶋滋理事は「日本は雇用が脅かされ、賃金も伸び悩み、それが消費に影響し、生産が拡大しない負のスパイラルにある。正規雇用を拡大し所定内賃金も引き上げて、残業しなくてもよい効率的な働き方にする必要がある」と強調します。

 具体的には、労働者派遣法の改正、新卒者雇用の拡大や時間外労働の賃金割増率の一層の改善、均等待遇推進などが必要と指摘しています。

 制作・生活図鑑担当 編集・亀岡秀人

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