東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 生活図鑑 > 生活図鑑シリーズ・バックナンバー > 2010年の記事一覧 > 記事

ここから本文

【生活図鑑】

高齢者と孤独死(No.334) 明確な定義なく、増加の傾向

写真

 高齢者の孤独死が問題になっています。家族や地域社会とのつながりの薄さに焦点があたっています。しかし、社会保障などセーフティネットの問題もありそうです。一方、どういう状態が孤独死なのかも定まっていません。孤独死とは?

 内閣府の高齢者を対象にした調査(二〇〇九年度)では、孤独死を身近に感じるのは42・9%、感じないのは55・8%とされ、深刻な問題になっています。

 孤独死とは一体、どのようなことでしょうか? 政府では、孤独死ではなく孤立死としての記述が多く見られます。内閣府の高齢社会白書(一〇年版)では「誰にもみとられることなく息を引き取り、その後、相当期間放置されるような悲惨な孤立死(孤独死)」と指摘。〇八年の厚生労働省の「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議(「孤立死」ゼロを目指して)報告書」でも同様の指摘を行っています。

 政府は、いわゆる独居死よりも踏み込んでいるようです。一方で「明確な定義はない」としています。このため、孤独死についての統計もありません。

●孤独死原因さまざま

 高齢者の孤独死についてよく用いられるのが東京都監察医務院のデータです。東京二十三区内における独り暮らしの六十五歳以上の自宅での死亡者数は、〇八年は〇二年に比べ一・六倍に増加。全国的にも孤独死が増えているのではないかとみられています。

 高齢者の孤独死の原因は、高齢単独世帯の増加、家族・地域のつながりの薄さ、貧困、格差などが挙げられています。それぞれを見てみましょう。

 高齢者の単独世帯数は、年々増加の傾向にあります。単独(単身)世帯のうち男性では六十代が多く、女性は七十五歳以上が過半数を占めています。今後の人口推計でも高齢者単身世帯の増加が予想されています。

 つきあいはどうでしょうか? 子や孫とのつきあい方も変わってきました。生活意識調査では「いつも一緒に生活できるのがよい」との答えがこの二十五年間で減少。家族とのつきあい方も孤独死の一因とも指摘されます。

 一方、高齢者調査では、近所づきあいなど地域とのつながりが薄いといわれる大都市ほど、また地域とのつながりがないという人ほど孤独死を身近に感じる割合も多くなっています。

 このため、地域でのつながりがより重要として、高齢者の「見守り」を行っている自治体などが増えています。政府も、こうした地域福祉ネットワークの重要性を指摘しています。

●社会保障は十分か

 孤独死には貧困や格差などの影響も指摘されています。例えば、生活保護世帯の半数は高齢世帯です。また、高齢者間では、もともと大きな所得格差があります。その上、医療・介護などの必要性が高まるのが高齢期です。

 これを年金などの所得で賄いきれない世帯であれば、たちまち生活に困窮してしまいます。

 しかし、生活保護の老齢加算の廃止など高齢者福祉の切り捨てが指摘されるなど、社会保障がセーフティーネットとして機能していない結果が孤独死を招いているとも言えます。

 財政が厳しいなか、地域福祉を含めた社会保障の充実をどのように行うのか? それには、世代間や所得格差の大きい高齢者世帯間の負担方法などが課題になります。こうした対策を考える上でも定義と統計が必要です。

 制作・亀岡秀人

ご注文はこちらから
 

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報