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【生活図鑑】

年金型保険金の二重課税(No.335) 所得税還付開始、税体系整理へ

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 年金型生命保険金などの二重課税問題で、払いすぎた所得税の還付が始まりました。遺族が年金方式で受け取る保険金に相続税と所得税が二重に課税されるのは違法とした最高裁判決を受けたものです。今回の還付対象は法律改正の必要がない2005年分まで。05年分については早い場合は10年12月末が期限になります。また、住民税、国民健康保険料(税)などにも影響する場合があります。

 年金払い方式の保険金には、相続時に相続税が、実際の年金受給時に所得税が課せられていました。しかし、相続税が課せられた部分についてまで所得税を再び課すのは、税の二重課税に当たるとして最高裁が違法と判断しました。これは相続とみなされた場合だけでなく、贈与を受けた場合にも当てはまります。このため、対象となる所得税の還付を始めました。

 例えば、支払期間十年の確定年金の場合、60%が相続税の課税対象となっていました。年金受給時には、相続税が課せられた60%部分を含め、所得税も課せられていました。この部分は二重課税になるため、すでに相続税の課税対象になった60%部分を所得税では非課税とし、残り40%を課税対象とすることになりました。払いすぎた所得税は還付します。

 対象者は(1)死亡保険金を年金形式で受給している(2)学資(こども)保険の養育年金を受給している(3)個人年金保険の年金受給者−です。

 過去五年間についての対象件数は国税庁によると六万件から九万件、還付額は推計で六十億円から九十億円。単純に計算すると一件平均十万円になります。ただし、個人によって還付額などは変わってきます。それ以前については法律改正が必要なため、一一年以降になる予定です。

●心当たりあれば確認を

 対象者には保険会社、共済などから通知が送られています。また、住所変更したなどで通知が届かない場合もあります。心当たりがある場合は、保険会社などに確認する必要があります。

 所得税の還付額は一年間の所得に応じて再計算するため、年ごとの更正請求や、確定申告が必要です。

 確定申告の写しなどを保管していない場合は、税務署で過去の申告内容を確かめることができます。

●住民税などにも影響

 所得税の還付が行われると、住民税や国民健康保険料などにも影響する場合があります。確定申告した人で、税金を納めた人などが更正の請求を行い、所得税を還付された場合は、住民税なども減額されます。市区町村での手続きは必要ありません。

 しかし、ケースによっては市区町村での手続きが必要になります。

 また、年末調整された給与以外の所得が二十万円以下の場合、確定申告をしなくてもよい申告不要制度があります。この制度を選択していた人も所得税が還付されるケースがあります。なお、所得税が還付されても、居住する市区町村によっては国民健康保険料などが増額になる場合があります。

 国税庁では、所得税の還付書類作成や所得金額の計算を行える「保険年金の所得金額の計算のためのシステム」をホームページで公開しているほか、税務署でも専門の相談体制を整えています。

●株でも同様のケース

 二重課税問題は、これまで「相続で取得した年金受給権と実際に支払いを受けた年金とは別」としてそれぞれ相続税と所得税を課してきた税の考えを覆すものです。現状では、相続した株式を売却し譲渡益が出た場合も二重課税状態です。財務省などでは、税の体系を整理していく方針です。

  制作・生活図鑑担当

  編集・亀岡秀人

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