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【生活図鑑】

所得税の見直し議論(No.337) 高所得者の負担増加も

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 所得税の扶養控除の一部が廃止されるなど、政権交代以来、所得税の改革が話題になっています。私たちの所得にかかる税であり、消費税と並んで最も身近な税といえます。所得税とは何であり、今後、どのように改革されるのか、あらためて考えてみましょう。

 所得税とは、狭い意味では、個人所得にかかる国税である所得税を指します。一方、広い意味では、大きく分けて所得、消費、資産にかかる税のうち、法人、個人を問わず所得にかかる税のことを指すこともあります。ここでは主に、個人所得にかかる国税である所得税と、地方税である個人住民税(都道府県民税と市区町村民税)を合わせて個人所得課税として考えてみたいと思います。

 このうち所得税収は、政府の二〇一〇年度予算で十二兆六千百四十億円を見込まれ、全税目の中で最大で、まさに基幹税といえます。

 所得税法では個人の所得を、利子、配当、不動産、事業、給与、退職、山林、譲渡、一時そして雑所得の十種類に分けています。雑所得とはそれ以外の九種類の所得に分類されない所得です。

 サラリーマンの場合、毎年課税されているのが給与所得で、毎月の給与はもちろん半年ごとのボーナスも対象です。

 商店主や農家など個人事業主なら、通常の所得は事業所得になります。

●建前では総合課税

 サラリーマンが課税されるのは総収入ではなく、そこから経費概算控除の役割を果たす給与所得控除、基礎・配偶者・扶養の人的控除、社会保険料控除などを差し引いた課税所得です。課税所得に所得、住民税それぞれの税率をかけて計算します。課税所得がゼロなら、所得、住民税はかかりません。

 財政には公共目的の資源配分、所得再分配、景気調整という主要な三機能があります。所得再分配には税制が重要な役割を果たします。

 所得課税の税率を、高所得になるほど高くする累進構造にして、高所得者からより多くの税を徴収し、それを歳出面で低所得者に分配することによって、所得を再分配することなどです。

 昨年の政権交代の後、扶養控除の一部廃止などによる増税を財源にして、子ども手当を創設したことも、所得再分配の一種といえます。

 所得再分配をより効率的に行うには、種類の違う所得を合算して総合課税することが望ましいのです。現在の個人所得課税も原則的には総合課税です。

 もっとも、建前は総合課税とはいえ、現実には、利子所得は申告の必要のない源泉分離課税、配当所得は事実上の源泉分離課税、退職、山林、譲渡所得などは申告分離課税で、総合課税の原則はかなり崩れています。

 譲渡所得のうち株式売却益の税率は、本則は所得、住民税合わせて20%と、利子・配当所得と同じですが、株式市場を冷やさないようにとの配慮から、一一年末までの期限付きで10%に抑えられています。

●控除縮小も議論

 民主党政権は発足以来、所得再分配機能の再強化を掲げてきました。

 個人所得課税は、この二十数年来、「社会の活性化」などを名目に累進構造が緩和され、所得税は5〜40%の六段階、住民税は一律10%です。所得再分配機能は明らかに弱まっているので、最高税率の引き上げなど累進構造の再強化を一つの目的としています。

 現在開かれている政府税制調査会では、配偶者控除の縮小、給与所得控除に上限を設けることなどで、高所得者に負担増を求めることが論議されています。

 制作・川北隆雄 デザイン・佐藤恵理

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