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【生活図鑑】

どうなる介護保険(No.340) 財政難 負担増、サービス削減も

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 介護保険をどう改革するのか−。2012年度から実施を目指す介護保険改革で、保険料など利用者の負担増とサービス(給付)の削減が検討されています。財政難のなか、安心して介護を受けられるのでしょうか?議論に出た案を検証してみます。

 厚生労働省の介護保険部会では「現在直面している大きな課題」として、地域で介護を支える体制が不十分と指摘しました。

 とくに、単身高齢者などへの対応の遅れです。在宅の単身・重度の要介護者は定期的な水分補給などが必要です。現在、夜間の訪問介護サービスがあるものの、普及が進んでいません。そこで「二十四時間対応の定期巡回・随時対応サービス」を創設するとしました。

 このほか、特別養護老人ホームなどのユニット型個室の居住費軽減、認知症への対応強化などが必要とされました。

●地域の受け皿未知数

 新たな介護サービスの実施は保険料に跳ね返ります。「サービスが拡大するに伴い、保険料が一定程度上昇するのは当然」ということです。このため「給付の効率化・重点化などを進める」として負担増と給付の削減案が浮上しました。

 具体的には(1)要支援者・軽度の要介護者に対する家事サービスなど生活援助を介護保険から外す、または利用者負担を二割に引き上げる案です。介護保険の枠外にするのは、孤独死問題に対応する見守りなどの地域福祉と統合し、市区町村の事業としたほうがよいとの理由からです。しかし、市区町村で十分なサービスが行えるか未知数で、これには「軽度切り」との批判が出ました。

 (2)医療保険では、現役並み所得の高齢者の窓口負担が三割です。介護保険でも高所得者(年金収入のみの場合、年三百二十万円以上)の利用者負担を二割に引き上げる意見が出ました。しかし、介護保険では医療と違い利用上限があります。単に高所得ということで引き上げというのには慎重な意見が多くあります。

 (3)このほか、在宅の場合、現在、利用者負担がかからないケアプランの作成など居宅介護サービスについて利用者負担を設けることや、特養など相部屋の室料負担を導入することが検討されました。

●処遇改善の保証なく

 介護職員などの処遇改善のため「介護職員処遇改善交付金」が実施されています。同制度は二〇一一年度で終了します。国の財源が厳しいため、一二年度からは交付金でなく介護報酬で続ける案を打ち出しました。

 介護労働者の賃金など処遇改善は必要です。交付金は全額、国庫負担で、目的も処遇改善のみ。これが介護報酬になると、保険料に跳ね返るうえ、本当に介護労働者の賃上げなど処遇改善に使われるのか、保証がないとの批判も出ています。

●現役世代は報酬別に

 四十歳から六十四歳までの現役世代の負担のあり方も議論になりました。サラリーマン(被用者)の保険料は、それぞれの医療制度の加入者数によって決まっています。これを、能力に応じて負担するという考えから、報酬に応じて保険料を決定するしくみへ変更するとの考えです。

 医療制度では先行してこの考え方を導入しています。介護保険も足並みをそろえることになりますが、健保組合や共済では負担が急増するため、反発しています。

 また、保険料の徴収年齢の拡大案についても結論を出すように指摘されました。

 介護保険は「保険あって給付なし」という批判があります。財政難のなか、介護保険のあり方が問われています。

  制作・亀岡秀人

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