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【生活図鑑】

皆年金施行50年(No.342) 目立つ制度疲労 改革進まず

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 皆年金・皆保険制度のスタートから今年で50年を迎えます。国民だれもが年金と医療保険に加入する制度は、老後生活の安定と健康増進に効果がありました。しかし、半世紀を経た今、少子高齢化の波にもまれ、制度疲労が目立ってきました。皆年金・皆保険は維持できるのか?まず、記録問題に加え、空洞化と無年金・低年金で不信が続く皆年金制度を考えてみましょう。

 日本の年金制度は、もともと明治時代の軍人・官吏の恩給制度から始まりました。その後、国に奉仕する公務員などを対象に制度化されました。

 初の民間を対象にした制度が一九四〇年の船員保険です。しかし、これも太平洋戦争遂行のため船員の協力を得る目的で制度化された背景があります。その後、軍需工場労働者などを対象とした労働者年金(のちの厚生年金)と続きました。

 自営業者と会社員の妻(専業主婦)については年金制度がない状態が続き、ようやく皆年金制度が実現したのは六一年の旧国民年金制度の施行からです。

 会社員の妻は旧国民年金では任意加入でした。専業主婦も、もれなく年金に加入するようになったのは現在の基礎年金制度がスタートした八六年からです。女性の年金権が確立してから、まだ二十五年しか経過していません。

●終わらぬ記録問題

 半世紀を経て、年金制度が社会の変化に合っていないとの指摘もあります。年金制度は「夫が働き、妻は家庭を守るという世帯(専業主婦世帯)」をモデルとしてきました。しかし、就業する女性も増え、共働き世帯が専業主婦世帯を上回りました。このため、見直しの必要性も挙がっています。

 また、年金制度の歴史から、制度が複雑になり、特例が多く、つぎはぎとなっています。その上、宙に浮いた五千万件や消えた年金の問題が次々に明らかになり、いまだ記録の照合が完了していません。コンピューター記録と紙台帳の照合を進めていますが、最終的に不明な記録も残る見通しです。

●納付率は過去最低

 皆年金とはいうものの、空洞化と、無・低年金問題が深刻になっています。

 国民年金の納付率は、二〇〇九年度で60%でした。一〇年度は、九月末現在で55・4%と、過去最低の水準です。

 〇九年度末で公的年金への未加入者が九万人、保険料の未納者が三百二十一万人もいます。また、厳しい経済情勢などで保険料を免除される人も増えています。この結果、免除者も含めると国民年金第一号被保険者で保険料を負担していないのは三人に一人という状況です。

 無年金問題も深刻です。旧社会保険庁の試算では、〇七年に六十五歳以上で今後、保険料を納付しても年金を受給できないのは四十二万人。六十五歳未満も含めると、百十八万人になるとしています。

 政府は、職業に関係なく一元化された年金制度を創設するとしています。しかし、具体的な年金制度の設計はなかなか進んでいません。皆年金が揺らぐなか、年金制度をどのようにしていくのか? 考える必要がありそうです。

 制作・亀岡秀人

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