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【生活図鑑】

皆保険施行50年(No.343) 国保滞納、医療費は増…問題山積

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 1961年に市町村で国民健康保険制度が実施されました。これにより、国民だれもが医療制度に加入する国民皆保険が達成されました。実施から50年。高齢化の影響などで国民医療費は増加する一方、国民健康保険料の滞納世帯も増加するなど、制度が揺らいでいます。

 医療制度の歴史は、明治に鐘紡、八幡製鉄所での共済組合設立などから始まったとされます。その後、工場労働者を対象とした健康保険法が制定されました。改正を経てサラリーマンとその家族が対象となる健康保険へと発展しました。

 国民健康保険は当初、任意組合から始まりました。その後、サラリーマンの健康保険に加入していない場合、市町村が運営する国保へ強制加入することになりました。この結果、一九六一年に国民皆保険が実現しました。

 皆保険の実現により、世界最高水準の保健医療を実現。国際的にも高い評価を受けてきました。

●受診できず重症化

 皆保険は揺らいでいます。

 居住していれば加入できる国保は、皆保険で重要な役割を果たしてきました。しかし、国保の保険料の収納率は七三年度をピークに低下、二〇〇八年度は90%を割り込みました。

 保険料を滞納する世帯数も〇九年で四百四十五万世帯、加入世帯の20・8%と、五世帯に一世帯が滞納している深刻な状況に陥っています。

 滞納すれば、保険診療を満足に受けられず、なかには受診を見合わせ、重症化や生命を落とすケースも出ています。

 また、経済協力開発機構(OECD)によると、日本の人口千人あたりの医師数は二・二人で、加盟国中、下位グループに位置しています。医師不足は、救急や産科、小児科などで深刻です。救急患者のたらい回しが社会問題化しました。

●医療の地域格差も

 地域による医師、病院などの偏在もあり、受けられる医療サービスの地域格差も指摘されています。

 高齢化や医療の高度化などの影響を受け、医療費は年々増加しています。また、各保険者の財政も厳しい状況です。医療費の増大を防ぐため、保険料や自己負担の引き上げなど給付と負担の見直しが続いています。

 医療制度も変遷してきました。とくに高齢者医療は、自己負担の無料化から老人保健制度、後期高齢者医療制度へと変わっていきました。さらに、後期高齢者医療制度を廃止し、新高齢者医療制度へ移行する案も決定されました。

 しかし、皆保険を維持するには、医療体制の地域格差や診療報酬、厳しい財政と負担のあり方など、さまざまな問題が山積しています。

 制作・亀岡秀人

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