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【生活図鑑】

税制改正(No.344) 個人増税で企業減税 還元は?

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 2011年度税制改正大網では、法人所得課税の5%引き下げの一方、個人所得課税の各種控除の縮減、つまり増税が決まりました。民主党政権になってから、子ども手当創設などもありましたが、一部の世帯には実質負担増になります。

 税制改正大綱には、経済界の念願だった法人所得課税の約5%引き下げが盛り込まれました。これで米国よりは低くなりますが、アジアはもちろん欧州諸国よりもまだ高く、経済界は一層の引き下げを望んでいます。企業の投資が活発になり、雇用も増えるなら、個人にも恩恵があることになります。

 しかし、国民は喜んでばかりいられません。個人所得課税である所得・住民税の各種控除が縮小されるなど、増税になるからです。法人減税の直接の財源とはされていませんが、実質的には個人増税で企業の負担を減らすのと同じことです。

●高所得者中心に増税

 まず、年収千五百万円超のサラリーマンの給与所得控除が、二百四十五万円で頭打ちになります。給与所得控除は、経費がほとんど認められていないサラリーマンに、経費概算控除の性格を持っています。それが頭打ちになるのですから、高所得のサラリーマンには増税になります。

 会社役員になるとさらに厳しく、年収千五百万円を超すと頭打ちになり、段階的に圧縮され、年収四千万円超では給与所得控除は百二十五万円になります。

 二十三〜六十四歳の扶養家族への成年扶養控除は、障害者や要介護者、勤労学生などを除き、年間所得四百万円超(サラリーマンなら年収五百六十八万円超)の納税者は受けられなくなります。

 既に一〇年度税制改正で年少扶養控除の廃止、特定扶養控除の縮小が決まっています。これは、民主党のマニフェストにある「控除から手当へ」を実施するためで、控除の廃止・縮小による増税を財源に子ども手当などを支給し、所得再分配を図るわけです。

 ただ、マニフェストに明記されていた配偶者控除の廃止は、専業主婦世帯に影響が大きいため、選挙を意識してか、今回は廃止・縮小は見送られました。

●一部家庭でマイナスに

 通常国会で税制改正法案が成立すれば、一三年六月から、所得・住民税の控除縮減が完全に実施されます。

 一方で、民主党政権は昨年から子ども手当を創設、高校授業料の実質無償化など、歳出面では子どもを持つ家計にプラスになる政策も実施しています。差し引きした結果はどうなるでしょうか。

 第一生命経済研究所の調べでは、サラリーマンの夫、専業主婦の妻、小学生の子どもを持つ家庭では、年収三百万円、同五百万円、同一千万円のケースでは差し引きプラスになるものの、同七百万円や同二千万円ではマイナスになります。

 子どもが三歳未満だと、子ども手当が月額二万円に増え、子どもが高校生だと、高校授業料無償化で年収七百万円でもプラスになります。

 このように一部には、差し引きマイナスになる家庭があります。

 このほか、個人所得課税では、勤続五年以下の役員の退職所得優遇課税の廃止もあります。

 資産格差を固定させないため、相続税の引き上げも盛り込まれました。

 制作・川北隆雄

 デザイン・佐藤圭美

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