東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 生活図鑑 > 生活図鑑シリーズ・バックナンバー > 2011年の記事一覧 > 記事

ここから本文

【生活図鑑】

寄付金控除(No.347) 税制改正で進むか 個人の寄付

写真

 日本の場合、地方自治体や社会貢献活動を行う団体などへの寄付は、国際的には遅れているようにみえます。このため、2011年度の税制改正では、NPOなどへの個人の寄付を行いやすくする「市民公益税制」の優遇措置が盛り込まれました。具体的には、所得税や住民税の負担軽減、寄付対象も広げるなどです。これにより、個人の寄付は拡大するのでしょうか?

 民主党政権では「人を支える役割の担い手は官だけではなく、社会全体で支える」という「新しい公共」の考え方が打ち出されました。しかし、支える一環として個人が寄付するにも、支援策や対象が十分とはいえないと指摘されました。

 寄付白書(日本ファンドレイジング協会編)によると、日本では、個人からの年間寄付総額が約五千四百五十五億円と推計されています。うち、個人からの寄付は52・5%でした。90%以上が個人分という米国や英国とは大きな開きがあります。

 名目国内総生産(GDP)に占める寄付総額の割合をみても、米国1・87%、英国0・87%で、日本の0・22%と比べて四倍から八・五倍の開きがあります。

 また、寄付金について確定申告を行った人は5・3%にすぎません。このため、税制面で、個人の寄付が行いやすい改正が打ち出されました。

●所得税は税額控除も

 指定された団体などに寄付を行えば税の負担が軽減される「寄付金控除」制度があります。

 従来、所得税では寄付金から二千円を差し引いた額を所得から控除(所得控除)します。住民税では、寄付金から五千円を差し引いた金額の10%(都道府県民税4%、市区町村民税6%)分だけ住民税の負担が軽く(税額控除)なります。

 これを、次のように改正します。所得税では税額から控除する「税額控除」を選べるようにしました。一般的には所得控除より税額控除の方が、還付額は大きくなります。また、住民税でも所得税と同様に寄付金から差し引く額を引き下げ二千円にしました。これにより、税金の負担が軽くなるため、小口の寄付も行いやすくなるのでは、とみられています。

 例えば、課税所得五百万円(所得税率20%)の世帯が年間十万円を寄付した場合を考えてみましょう。

 従来は、寄付金から二千円を差し引いた九万八千円を所得から控除。九万八千円の20%にあたる一万九千六百円分だけ、所得税の負担が軽くなります。住民税では寄付金から五千円を差し引いた10%の九千五百円の負担が軽くなり、合わせて最大二万九千百円の税金が戻ってきます。

 改正により、所得税で税額控除を選択すると、寄付金から二千円を差し引いた40%にあたる三万九千二百円分の税負担が軽減。住民税も同様に九千八百円が軽減され、最大四万九千円の税金が戻る計算です。

●寄付対象も拡大

 所得税、住民税ともに、社会福祉法人や公益社団法人・公益財団法人など定められた寄付先でなければ控除は認められません。

 NPO法人の場合、国税庁の認定を受けた法人だけが対象です(一一年一月十六日現在で百九十法人)。米国、英国に比べ、対象が少なすぎると指摘されていました。

 このため、認定方式の変更などで、より対象が拡大するように改正します。例えば(1)設立間もないNPO法人を仮認定する(2)地域のことは地域住民で決めるという考え方で、国税庁ではなく地方が認定する仕組みをつくる−などが盛り込まれました。

 税制改正で、寄付を含めた「新しい公共」の考え方が国民に根付くでしょうか?

 制作・生活図鑑担当

 編集・亀岡秀人

 デザイン・浅野裕作

ご注文はこちらから
 

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報