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【生活図鑑】

遺言の内容と効力(No.349) 遺産トラブル回避のために

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 遺言は相続について、自分の意思を反映させる制度です。核家族化が進むなか、遺産トラブル回避などを目的に遺言への関心が高まっています。しかし、遺言できる内容や効力については意外と知られていません。

 遺言(一般に「ゆいごん」と読まれていますが、正式には「いごん」といいます)は、満十五歳以上の人なら原則として誰でも行えます。ここでは、自筆遺言の原則的な効力を見てみます。

●遺言を書く意味

 遺言がない場合は、民法の規定に沿った相続、つまり法定相続になります。相続分は法定されているので、これと異なる相続分を希望するときは、遺言で指定しておかなければなりません(これを「指定相続」といいます)。

 また、自分の死後に相続人以外の人に財産を与えることもできます(これを「遺贈」といいます)。とくに、婚姻の届け出をしていない夫婦、いわゆる内縁関係の場合は相続権が発生しないので、内縁関係の相手に財産を残すには遺贈によらなければなりません。

 虐待をはたらいたり著しい非行に走ったりした者を相続から除外したい場合も、遺言によってその意思表示をすることができます(推定相続人の廃除)。この場合は、執行人が必要です。家庭裁判所に執行人が廃除を請求することになります。

 お墓や仏壇、祭具などの祭祀(さいし)財産は一般に相続財産に含まれないと考えられていますが、遺言の中で引き継ぐ人を指定することができます。

●効力には限界も

 配偶者と子、父母など直系尊属には相続できる最低限度が確保されています。これが遺留分です。

 もし、財産の全部を特定の相続人や第三者に譲るといった遺言のときはどうなるのでしょうか? たとえば「すべての財産を○○に寄付(遺贈)する」と遺言されていたような場合には、遺留分権利者は法律で定められた割合の遺産を受け取ることができます。

 つまり、遺言する人の意思は遺留分を侵害してまでも認められるわけではありません。

 その他、遺族年金や会社の死亡退職金などは法令や規則によって受給権利者が定められている場合が多く(受給者固有の権利)、遺言で受取人を指定したとしても、その部分が無効になる可能性が高いといえます。

 生命保険金は、遺言により受取人の指定を変更することができます(ただし、二〇一〇年四月以降に契約したもののみ)。

●相続人の合意が優先

 遺言がある場合、相続人は遺言の内容に従うのが原則です。しかし、遺言で各人の相続分が指定されている場合でも、相続人全員の合意があれば、遺言の内容と異なる相続分を決めることができます。

 最終的には遺言よりも相続人の合意の方が優先することになります。

 これは、財産の持ち主である被相続人の意思は尊重するが、強制まではできないということを意味します。

 円満な相続の鍵は、日ごろの良好な家族関係にあるということです。

 制作・生活図鑑担当

 編集・亀岡秀人

 デザイン・川端乙大

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