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【生活図鑑】

求職者支援制度(No.350) セーフティーネットを恒久化へ

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 雇用保険を受けられない非正規労働者などの職業訓練のセーフティーネットが恒久化されます。緊急人材育成支援事業が終了するため、10月から「求職者支援制度」として、新たに雇用保険の枠組みを利用し、制度化する予定です。新制度は、訓練内容を充実、給付も厳格化しました。その内容は?

 派遣など非正規労働者は不安定な雇用を強いられています。このため、雇用保険の枠組みから外れると生活保護のセーフティーネットしかありませんでした。

 そこで、雇用における新たなセーフティーネットとして、生活を支援しながら職業訓練を行う緊急人材育成支援事業(基金事業)が実施されてきました。支援事業は今年九月で終了します。

 このため、職業訓練によるセーフティーネットの恒久化が求められ、求職者支援制度として十月から実施する予定です。

●労使も財源負担

 恒久化にあたって、まず問題になったのは財源です。従来の支援事業は、国が全額負担していました。しかし、財政が厳しいなか、雇用保険の活用が浮上。

 労使とも「支援制度は本来、国が労働政策として実施する必要がある」と指摘したものの、セーフティーネットの恒久化を優先。雇用保険に加入していない非正規や求職者も将来の雇用保険加入者になるとして、実施することになりました。

 この結果、国が二分の一、労使がそれぞれ四分の一ずつ支出することになります。

●受給条件を厳格化

 雇用保険の枠組みを利用することで、従来の訓練、給付制度を見直します。

 訓練期間中の生活費などの受給条件は、従来、年収が基準でした。新制度では月収を基準とします。単身の場合、雇用保険の被保険者とならないパートの平均時給などと比較し、八万円以下。また、扶養者がいる世帯の場合、二十五万円以下となる予定です。

 金融資産も従来の八百万円以下から三百万円以下になります。

 いずれも雇用保険の被保険者との比較から、厳しくなりました。

 給付額は一律月十万円で給付期間は原則一年、訓練期間が一年を超える場合は二年までです。給付を受けられる回数は、非正規社員の雇用年数が平均五年だったことなどを考慮し、六年間に一回になる予定です。

 また、訓練奨励金については一人あたり六万円が訓練機関に支給される予定です。

 訓練では、興味本位の受講は求職のセーフティーネットの趣旨に反するとして(1)原則、訓練にはすべて出席、病気などのやむを得ない理由でも80%以上(2)原則、六十五歳以上は認めない−などです。欧州でも、職業訓練の出席は厳しく求められています。

 残された課題もあります。例えば、訓練期間中の生活費の支援給付額十万円は、雇用保険の失業給付を上回る場合があります。雇用保険料を支払っているのに、失業給付が求職者支援制度の給付より低くなることをどうするのか? 例えば雇用保険の失業給付に最低保障を設けるなど、今後、議論を行うとしています。

 制作・亀岡秀人

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