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【生活図鑑】

主婦の年金問題(No.351) 救済策 公平性に不満、見直しへ

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 種別変更の届け出を忘れた主婦の年金救済策が混乱しています。当初の救済策は、公平性に欠けるとの不満が噴出し廃止、見直すことになりました。会社員世帯の専業主婦「第3号被保険者」問題では、これまでも届けで混乱した経緯があります。制度の問題点は?

 国民年金の第三号被保険者は、会社員や公務員に扶養される人が、自らは保険料を納めず、基礎年金を受給できる制度です。「専業主婦の年金」と呼ばれる仕組みで、これまでも制度への疑問が浮上していました。

●対象者100万人超

 今回の問題は、例えば、夫が会社を退職し自営業者になった場合、主婦は第三号被保険者に該当しなくなります。しかし、主婦が変更届を出さず、記録上は第三号のままというものです。

 第三号でなくなれば保険料納付義務が生じます。記録を訂正すると、届け出なかった期間は保険料の未納期間となり、年金額が大幅に減少、または無年金になります。対象者は百万人以上とみられています。

 厚生労働省は当初、混乱を防ぐため、法律改正せず課長通知で、二年分の保険料を支払えば残りは第三号とするという運用による救済策を今年一月から実施しました。

 これでは、変更届を出し保険料を支払った人から見れば、保険料を納めなくても同じ年金額を受給でき公平性に欠ける。また、救済が始まった一月以前に変更した人は救済の対象にならないなどの不満が噴出。厚労、総務相の協議などで法改正による見直しで一致しました。

 見直し案は(1)本来、二年間しかさかのぼって保険料を納付できないのを、対象の全期間で保険料を納付できるようにする(2)さらに、受給資格期間にするものの年金額に反映しない合算対象期間(カラ期間)とする−などが検討されています。

 ただし、過去分の保険料を納められない人は低年金になります。また、既に受給中の人は十数万人と推定され、これらの人をどのように扱うかなどの課題もあります。

●種別変更で混乱続き

 第三号を取り巻く記録の不整合はたびたび指摘され、厚労省もさまざまな問題があることを把握していました。しかし一九九八年までは行政の取り組みが行われず、二〇〇五年までも不十分だったと認めています。

 過去には生命保険の外交員セミナーなどに参加した専業主婦が、その期間、会社員として届け出されたのを知らず、第三号への変更を行わなかったため、空白期間になっていたことなどが問題になりました。

 一九九五年から九七年にかけ、空白を訂正する期間が設けられ、約九十一万人が利用しました。しかし、それでも混乱が続き、二〇〇四年の年金改正で、空白期間についてはすべて救済する特例をつくりました。

 このときは救済反対の声はほとんどありませんでした。〇四年と今年一月の違いは、救済が本来、保険料納付義務がない空白期間か、義務がある未納期間かという点です。

●制度そのものに疑問

 制度自体への疑問もあります。同じ専業主婦でもなぜ、自営業者の妻なら保険料を納め、会社員世帯などの専業主婦だけが自ら保険料を納めなくても良いのか?

 主要国では、米国、英国で配偶者(家族)年金として一定割合の年金が支給される制度があります。ただし、自営業者の妻、会社員の妻といったことで受給が区別されません。

 第三号被保険者制度はさまざまな問題が指摘され、年金制度そのものと関わってきます。制度の見直しが急務です。

 制作・亀岡秀人

 デザイン・佐藤圭美

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