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【生活図鑑】

地震保険(No.352) 被災者の生活再建資金に

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 東日本大震災により住宅が大きな被害を受けました。火災保険ではカバーできない地震、津波での損害を補償するのが地震保険です。阪神大震災以来、地震保険の加入は増え続けているものの、2009年度の世帯加入率は23%にすぎません。地震保険でどれくらいの補償されるのか、そのしくみは?

 地震保険は一九六四年の新潟地震をきっかけにして制度化されました。民間の損害保険会社だけでは保険金支払額が過大になるため、国も支払いを引き受ける保険制度です。

 〇九年度で世帯加入率は23%、火災保険契約世帯で地震保険も契約する付帯率は46・5%あります。

●契約には限度額も

 地震保険は、単独では契約することができません。必ず火災保険とともに契約する必要があります。火災保険の契約期間中なら中途でも地震保険を契約できます。対象は、建物(住宅)と家財です。工場や事務所などは対象外です。

 契約金額は火災保険の契約金額の30%から50%。契約の限度額は建物で五千万円、家財で一千万円です。

 例えば火災保険の建物契約が二千万円だったとすると、地震保険の契約金額は六百万円から一千万円になります。

 保険料は、支払額のリスクにより都道府県ごとに決められています。現在は八グループに分けられています。最も保険料が高いのは東京、神奈川、静岡。次いで千葉、愛知、三重、和歌山となっています。今回、大きな被害を受けた岩手、福島県は保険料が最も低いグループでした。

 また、建物構造によっても保険料が違います。非木造(マンションなどコンクリート造り)が木造より安くなっています。さらに、耐震性能などによる割引制度も設けられています。

 保険金が支払われるのは「全損」(契約金額の100%)、「半損」(同50%)、「一部損」(同5%)です。いずれも時価換算の限度があります。

 地震保険は法律でその目的を「被災者の生活の安定に寄与」としています。あくまでも震災後の立ち上がり資金を提供する趣旨であり、住宅を元のように再建するまでには至らない場合もあります。地域によっては「保険料の割に補償が…」と考える人もいます。阪神大震災以来、世帯加入率が上昇しているものの23%にとどまっているのは、こうした理由があります。このため、所得税からの控除制度なども設け、普及に努めています。

●民間超過分、国も負担

 これまで地震保険の支払総額は阪神大震災の七百八十三億円が最高でした。今回はこれを上回る見込みです。

 地震保険の支払いは総額千百五十億円までは損害保険会社など民間が全額負担し、それを超え一兆九千二百五十億円までは国と民間が50%ずつ負担。さらに超過した分は国95%、民間5%の負担になります。

 このため、国、民間損保会社などは保険金支払いに備えた積み立てを行っています。国の積立金(地震再保険特会)が一兆二千五百九十九億円、民間が九千六百九十三億円(一〇年三月末)あります。積立金などを考えると、約二兆三千億円の保険金支払いに対応できます。

 さらに、予想総支払保険金額の最大は関東大震災級とされ、現在は五兆五千億円まで支払枠を設けています。積立金を考慮した二兆三千億円を超える場合は、国は一般会計から借り入れ、支払うことになります。なお、今回の東日本大震災級の支払いは想定されていませんでした。

 日本以外でも、ニュージーランド、台湾、トルコ、米カリフォルニア州など地震被害を受けやすい国、地域にも地震保険制度があります。

 制作・亀岡秀人

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