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【生活図鑑】

震災で賃金・労災の補償は?(No.353) 津波、原発事故、取引先の影響で差異

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 東日本大震災や福島第一原発の事故などで雇用環境に影響が出ています。震災・原発事故による避難、さらに取引先の影響で休業を余儀なくされた場合、賃金や労災などの補償はどのようになるのでしょうか?被災などの状況別に整理しました。

 被災などで休業を余儀なくされた場合として、「地震・津波」「福島原発事故による避難」「部品などが調達できないなど取引先の影響」に分けて調べてみました。

▽休業手当

 労働基準法では、休業した場合、事業主は労働者に休業手当(賃金の60%以上)を支払う必要があります。しかし、今回の地震・津波の被害、原発事故による避難指示による休業は「事業主の責任ではない」として休業手当の支払い義務がないと判断されています。

 一方、部品や農産物などが入手できないなど取引先の影響から休業した場合は、「原則として事業主の責任による休業」とされ、休業手当を支払う必要があります。

▽雇用調整助成金

 助成金の受給には経済上の理由が必要です。取引先の影響による休業などは経済上の理由と判断され、対象になります。

 しかし、地震、津波の直接的な被害は、経済上の理由ではないため、対象になりません。修理業者や部品の手配がつかず事業所の再開ができないといった経済上の理由があれば対象になります。

 原発事故による避難指示地域内に事業所があるため休業した場合も、避難指示は経済上の理由ではないため、対象になりません。過去にも、火山爆発による入山規制でも対象外でした。

▽失業給付の特例

 失業給付特例は、地震・津波の被害による場合に受けられます。また、原発事故による避難指示も災害と同様の扱いで特例の対象です。一方、取引先の影響による場合、災害ではないと判断され、特例の対象外です。

 このほか、震災の影響などで企業が倒産し、退職したものの、賃金や退職金が未払いになっている場合、国が未払い賃金を立て替える制度があります。

 また、派遣・パートなど非正規社員の雇用問題が深刻になっています。派遣の場合、震災などを理由に派遣を打ち切られたとしても、派遣元との雇用関係は継続しており、休業手当などを支払う義務があります。

▽労災保険

 労災保険は、業務上のけがや病気などが対象です。一般的に天災によるけがや病気は対象外になるのでは、と考えられてきました。

 しかし、阪神大震災や東日本大震災では、労災の対象外として判断しないよう通達が出され、業務に従事している場合の被災であれば、労災給付を受けられます。労働者が亡くなった場合、その遺族に労災遺族補償年金も支払われます。

 リーマン・ショック以降、雇用調整助成金の利用が急増しており、今回の震災で雇用保険財政がさらに厳しくなることが予想されます。

 連合は「雇用を維持する企業の支援や失業給付を最大限活用すべきだが、労使の保険料頼みではなく、国の責任として一般財源を投入することも必要ではないか」と指摘しています。

 制作・亀岡秀人

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