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【生活図鑑】

相続税改正へ(No.356) 課税対象者が増え 税額もアップ

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 2011年度税制改革法案の中で関心の高いのが、所得税とともに相続税の引き上げです。現在は相続税の課税対象者は少ないのですが、増税で対象者が多くなり、相続税額も増えるからです。

 国会で審議中の税制改正法案に相続税の引き上げが所得増税と並んで盛り込まれたのは、現在の苦しい財政状況の中で少しでも税収を増やすのが目的です。「格差是正」や「再分配機能の強化」などの大義名分もあります。

 今回の相続増税の手段としてはまず、基礎控除の引き下げがあります。

●基礎控除が大幅に縮小

 現行基礎控除は五千万円プラス法定相続人一人当たり一千万円ですが、改正後は三千万円プラス一人当たり六百万円と、六割に減少します。

 相続人が妻と子ども二人の場合、現行では遺産総額八千万円まで非課税ですが、改正後は同四千八百万円超は課税対象になります。課税対象は一九八七年の7・9%から、二〇〇八年の4・2%へと半分近くに減っていますが、これが6%台に増えるとみられています。

 増税のもう一つの手段は、税率引き上げです。現行は10〜50%の六段階ですが、これを10〜55%の八段階へと、税率構造の累進性を高めた上で最高税率も引き上げます。

 相続税の税率構造は、八七年の最高税率75%、十四段階から、次第に最高税率が下げられて税率構造もフラット化され、〇三年には現行税率になっています。今回の税率改正で、この間の低率化、フラット化を修正するわけです。

 基礎控除引き下げと税率引き上げのダブルパンチで、実際の相続税額はどれだけ増えるのでしょうか。

●遺産多いほど増税

 遺産総額が一億円、相続人が妻と子ども二人のケースを考えます。現行では基礎控除が八千万円なので、課税対象額は二千万円です。しかし、改正後は基礎控除が四千八百万円に縮小するので、五千二百万円が課税対象になります。

 これを法定相続分で分けると、妻が半分の二千六百万円、子どもは四分の一の千三百万円ずつになり、それぞれ税率をかけて合計すると、相続税総額は六百三十万円になります。

 税額を相続分で分けると、計算上は妻が三百十五万円、子どもは百五十七万五千円ずつになりますが、妻には配偶者控除が適用されて税額はゼロになるので、実際の納付額は子ども二人分の計三百十五万円になります。現行制度では実際の納付額は百万円ですから、三倍強になるわけです。

 累進構造が強まるのですから、遺産総額が増えるに従って相続税は加速度的に増えます。

 このほか、死亡保険金(生命保険)の非課税措置についても増税要因があります。現行は、被相続人の死亡に伴う保険金については、法定相続人一人当たり五百万円の非課税枠が認められていますが、改正後は法定相続人でも、未成年者、障害者、被相続人と生計が同じ者以外には非課税枠が認められなくなります。

 このように相続税が引き上げられるのに対して、何か対策はないのでしょうか。

 一つは、財産を現金、預貯金から不動産に換えることです。土地は相続の際、路線価で評価され、実勢価格の六〜七割程度といわれるため、相続税が安くなることが多いのです。

 ただ、不動産は値下がりリスクがあり、すぐに換金することができないこともあり、損失を被る恐れもあります。

 制作・川北隆雄

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