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【生活図鑑】

有料老人ホームの解約トラブル(No.357) 契約者保護 徹底されるか

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 解約した際、一時金がほとんど戻ってこなかったなど、有料老人ホームの契約・解約について消費者保護が十分でない実態が問題になっています。相次ぐトラブルに、内閣府の消費者委員会も是正の必要性を強調。90日以内にホームから退去する場合、一時金など前払い金は経費を除き全額返還するなどの法改正を行います。契約者(消費者)保護が徹底されるでしょうか?

●一時金返還されず

 有料老人ホームは、二〇〇〇年の介護保険の開始に伴い、新規参入が増加、〇九年で三千五百六十五施設に達しています。一方、国民生活センター調べでは、有料老人ホームに関する苦情・相談も増え、一〇年度は五百九件(一一年四月二十五日集計分まで)に上り、うち80%は契約・解約に関する相談でした。

 特に問題なのが、解約時に前払い金が返還されないケースです。前払い金は、入居一時金や家賃などの名目でホームが徴収するもので、高齢者が住宅などを処分し、費用に充てているケースも多くあります。

 一時金が返還されなければ、老後生活は深刻な事態に陥ります。このため、内閣府の消費者委員会では実態調査に基づき、一〇年末に関係法の改正などの是正勧告を厚生労働省に行いました。

 有料老人ホームは、関東圏、中部圏、関西圏、北海道など都市部に施設、相談件数が多い傾向にあります。消費者委員会では東京、神奈川、千葉、埼玉の四都県を対象に実態調査を一〇年に実施しました。

 この結果、有料老人ホーム設置のガイドラインで定められている「おおむね九十日以内の契約解除の場合、一時金を全額返還するとした短期解約特例(九十日ルール)」が十分に順守されていませんでした。

 具体的には、九十日ルールを重要事項説明書に明記していない施設が約30%存在しました。さらに明記していても、三十日前後の予告期間を設けるところが多く、実質的に九十日ルールが適用されないしくみになっていました。また、九十日ルールの初日が契約日や入居日などまちまちで統一されておらず、返還金から差し引く費用を明示していない施設が半数を超えていました。

 指導を行う都道府県からも九十日ルールの法的根拠が明確でないため、実効性が上がらないとの指摘がありました。

●90日ルール法制化

 消費者委員会では「九十日ルールが十分に順守されているとは言い難い」として、ルールの法制化を図り、事業者が返還する際、差し引く利用料の範囲を明確化し、消費者保護を行う必要があるとしていました。

 これを受け、厚労省は九十日ルールを盛り込んだ老人福祉法改正案を国会に提出。具体的には(1)有料老人ホーム設置者は家賃、敷金などの費用を除き、権利金やその他の金品を受け取ってはならない(2)一定期間内の契約解除または死亡の場合、厚労省が定めた費用を除き全額返還する−などです。また、九十日の起算日は入居日としました。

 残された課題もあります。〇六年の老人福祉法改正で、それ以降に設立された施設は一時金など前払い金の保全が義務付けられたものの、十分でない実態が明らかになっています。保全が十分でなければ、一時金の返還も難しくなります。

 経営実態や、費用の算出根拠などの説明が十分でなく、改善が望まれます。

 制作・生活図鑑担当 編集・亀岡秀人 デザイン・佐藤恵理

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