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【生活図鑑】

サービス付き高齢者住宅(No.359) 介護・医療と連携、安心して暮らせるか

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 サービス付き高齢者住宅制度が創設されました。高齢化が急激に進む中、介護・医療サービスと連携し安心して暮らせる住居として、これまでの高齢者向け賃貸住宅を一元化、高齢者住まい法を改正し、新たな登録制度を設けました。新制度で何が変わるのでしょうか?

 従来、高齢者の住居としては自宅以外に、厚生労働省管轄の有料老人ホーム、国土交通省管轄の高齢者向け賃貸住宅三施設「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」が利用されてきました。

 しかし、有料老人ホームでは入院した場合、入居契約の解除を求められるケースや、一時金返還トラブルなども指摘されています。高齢者向け賃貸三施設も、それぞれがどのような制度なのか利用者には分かりにくい、また生活支援、介護・医療サービスの提供義務がなく、サービスがないかあっても不十分、さらに情報開示の必要性もないなどの問題がありました。

 一方、特別養護老人ホームなど介護保険施設では、入居できない待機者が増加するなど、既存施設だけでは受け入れが難しくなっています。

 このため、国は高齢単身者、高齢夫婦世帯が介護が必要な状況でも安心して暮らせるように、介護・医療サービスを組み合わせたサービス付き高齢者住宅制度(国交省、厚労省共管)を創設しました。

●バリアフリー義務化

 施設面では、住戸面積が原則二十五平方メートル以上で、各戸に台所、水洗トイレ、洗面・浴室、収納を設ける必要があります。さらに手すりの設置、段差の解消などのバリアフリー化が求められます。従来の高円賃の施設基準にバリアフリー化を義務付けたものです。

 有料老人ホームの施設基準の指針(厚労省)では、介護居室は個室で十三平方メートル以上となっているため、施設基準は厳しくなっています。

 介護サービス面では、少なくとも「安否確認」と「生活相談」サービスを利用者に提供する必要があります。

 これらの基準を満たした住宅のみが都道府県、政令・中核市の長に登録できます。自治体は立ち入り検査、登録取り消しなど監督処分の権限があります。登録は建物ごとに行い、五年ごとの更新が必要です。登録物件以外はサービス付きとしては名乗れないしくみです。有料老人ホームでも、基準を満たせば登録ができます。

 建設・改修には補助が出るほか、税制優遇も設け、供給を促進します。

●人材の確保など課題

 介護サービスなどがどこまで行われるのかが、新制度の課題です。高齢者住宅財団の調査(二〇一〇年十月)では、高専賃の入居者のうち自立は30・8%で、平均介護度は一・四一でした。平均介護度は、有料老人ホームとほぼ同じでした。

 サービス付きは、特養など介護施設とは違うものの、今後、高齢化で介護度が高い入居者が増加した場合、対応できるのか、という課題もあります。

 このため、厚労省では、介護保険で新たに二十四時間巡回サービスを創設します。しかし、担い手が十分確保されるのか、不安もあります。

 今後、介護保険施設以外はサービス付きに集約されていくのでしょうか? これについては「サービス付きは高齢者住宅の選択肢の一つ」(国交省)、「有料老人ホームとしてのニーズもある」(厚労省)としています。利用者からサービス付き高齢者住宅がどのように評価されるかにかかっているようです。

 制作・亀岡秀人

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