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【生活図鑑】

年収300万円が男性の結婚境界線?(No.361) 届かぬ非正規 対策急務に

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 年収三百万円以上でなければ男性は結婚するのが難しい― 二十代、三十代を対象とした内閣府の調査で、実態が浮き彫りになりました。以前から、年収や雇用形態が結婚に影響していると指摘されていました。非正規労働者比率が高まるなど、若年層の雇用環境が厳しくなるなか、男性の結婚と年収、雇用形態の関係を調べました。

 平均初婚年齢は、年々上昇し、男性の場合は三十歳を超えています。少子化の原因の一つとされ、とくに働き方と年収の関係が指摘されてきました。

●既婚率でも格差

 内閣府の「結婚・家族形成に関する調査」(二〇一一年)でも、男性の既婚率は正規雇用で27・5%なのに対し、非正規雇用では4・7%でした。また「恋人あり」との回答も正規雇用では27・2%と、非正規雇用の15・3%を上回っていました。

 男性の年収と既婚率の関係では、二十代では三百万円未満が8・7%なのに対し、三百万円以上なら25〜39%に上昇。三十代でも既婚率は、三百万円を境に変化していました。

 男性の結婚境界ラインは「年収三百万円」。しかも、年収はその働き方が関係しているのでしょうか?

●25〜34歳で比率増

 まず、若年層の働き方を見てみましょう。総務省の労働力調査によると、不況や産業構造の変化を受け、若年層は失業率が高い上に、男女ともに二十五〜三十四歳の非正規雇用比率が上昇しています。

 内閣府調査をはじめ各種の調査でも、非正規雇用では結婚が難しくなる傾向が出ています。その原因は収入と考えられます。

 非正規雇用と正規雇用の男性の賃金を比較してみます。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(一〇年)から、二十代、三十代の年間賃金(所定内給与×十二+賞与など、企業規模は十人以上)を計算しました。

 正規雇用では二十〜二十四歳で年間賃金二百八十四万円と三百万円未満でしたが、二十五歳からは三百五十万円を超えていました。一方、非正規雇用では二十五〜二十九歳で二百四十八万円、三十五〜三十九歳でも二百九十万円と、三百万円に届きません。

 結果的に二十代、三十代の非正規雇用の男性は、年間賃金が三百万円に届かず、結婚できにくいという調査が裏付けられているようです。

 別の調査では、非正規や無職では「結婚するつもりはない」との回答も多く、働き方が結婚と密接に関係しています。非正規雇用から正規雇用へ転職することも困難で、働き方による格差が少子化を生んでいるとも言えます。

●将来像描きにくく

 政府は少子化対策として、子ども手当や、保育所をはじめとする施設の充実など子育て支援を行っています。しかし、非正規雇用が結婚の障害となっている現状を考えれば、若年層の雇用問題が少子化対策としても重要なことが分かります。

 しかも、正規雇用であっても、賃金は伸び悩み、生活の将来像を描きにくくなっています。「結婚境界ライン三百万円」は、少子化の観点からも若年雇用問題の是正を迫っています。

 制作・亀岡秀人

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