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【生活図鑑】

65歳までの働き方(No.363) 定年引き上げ 賃金減など懸念も

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 生涯現役社会の実現を目指し、厚生労働省の研究会は、企業に義務付けている60歳定年を65歳に延長するよう求めています。少子高齢化による労働力人口の減少を補うほか、年金受給開始年齢が65歳になるのを受けての考えです。しかし、定年延長の法定化に労使は消極的です。60歳代の働きかたの現状と、生涯現役社会の取り組むべき課題は?

 少子高齢化により、十五歳から二十九歳の人口が、二〇〇九年の二千五十万人から三〇年には千五百三十三万人に減る見込みです。社会の活力を維持するには高齢者の積極的な就労が欠かせません。

 高齢者の就労については、〇四年に改正された高年齢者雇用安定法で(1)定年の引き上げ(2)継続雇用制度の導入(3)定年の定めの廃止−のいずれかを段階的に実施、一三年度からは企業に六十五歳までの雇用確保を義務付けています。

 一〇年で、ほとんどの企業がいずれかの雇用確保措置を実施。内訳は、定年の引き上げが13・9%、継続雇用83・3%、定年廃止2・8%でした。継続雇用制度の導入がほとんどです。

●57%「60歳以上希望」

 厚生労働省の「今後の高年齢者雇用に関する研究会」は、六十五歳までの雇用を確保するため、法律で義務化されている定年を六十歳から六十五歳へ引き上げるよう提言しています。

 定年については57%の人が「六十歳より上」を望んでいる調査もあります。定年制度は、定年までは雇用保障される点が労働者に受け入れられていると考えられます。

 一方、定年を引き上げた場合、懸念も多くあります。既に六十五歳までの雇用確保義務を実施するにあたり、賃金カーブは一九九〇年、二〇〇〇年に比べ、〇八年では五十歳から伸びず、六十歳以降は急激に下降しています。

 また、定年が六十歳から六十五歳に引き上げられたとき、退職金支給時期や内容はどうなるのか? 退職金制度の扱いも課題です。

 経済界も六十五歳への定年引き上げには、賃金など人件費の負担感が重いとして消極的です。労働側も連合は「一律に定年を六十五歳とすると、労働者の働き方の選択肢をなくすことにつながる」として慎重な姿勢です。

●基準めぐり労使に溝

 では、現在の雇用確保措置で問題はないのでしょうか? 

 企業の80%以上は継続雇用制度を導入しています。しかし導入企業で、希望者全員を雇用しているのは41・4%にすぎません。58・6%の企業は「健康上支障がない」「働く意思・意欲」といった何らかの基準を設けています。多くは労使協定による基準ですが、希望者全員が雇用されるわけではありません。

 このため、連合など労働組合では「基準は必要なく、希望者全員の雇用を義務付ける必要がある」と主張しています。一方、経営側は「雇用は労使間の問題であり、基準は必要」としています。研究会では「六十五歳までの雇用を確保するため、基準制度は廃止」との考えです。

 高年齢の雇用問題は年金支給とも切り離せません。年金を含めた高齢期の就労、収入、生活について今後、取り上げていきます。

 制作・亀岡秀人

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