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【生活図鑑】

雇用と年金支給開始年齢(No.365) 65歳まで働けど、逃げる年金

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 高齢期の生活の柱は年金収入です。このため、生活を安定させるためにも、年金支給開始年齢まで雇用を確保する必要があります。そこで高年齢者雇用安定法で、段階的に六十五歳までの雇用を維持することが企業に義務付けられています。

 六十歳代前半の特別支給の厚生年金の定額部分は二〇一四年度からなくなり、報酬比例部分のみの部分年金になります。これに合わせ一三年度までに企業は六十五歳までの雇用維持措置を導入、ようやく達成のめどがたちました。

 また、三〇年以降には女性を含め、年金支給は原則六十五歳からになります。

●68〜70歳へ引き上げ?

 ところが、財政の厳しいなか、政府は社会保障と税の一体改革で、年金支給開始年齢を現在の六十五歳から六十八〜七十歳へさらに引き上げるよう求めています。厚生年金についても、現在の引き上げスケジュールを前倒しする検討も必要としています。

 支給開始年齢を一歳引き上げるごとに基礎年金部分で〇・五兆円、財政負担が軽くなると試算しています。

 引き上げについては、先進諸国が受給開始年齢を引き上げたことを参考にするとしています。先進諸国では米国、ドイツが六十七歳へ、英国は六十八歳へ引き上げが決まっています。フランスも二歳引き上げます。高齢化が著しい日本もさらなる引き上げが必要と指摘しました。

 当然、年金支給開始年齢の引き上げは雇用政策とセットで進めていかなければなりません。しかし、雇用政策では、会社員の六十五歳までの雇用確保にめどがついたにすぎません。法定定年を六十五歳に引き上げるかなど、なお議論が残っています。ましてや、七十歳までの雇用確保の議論などは進んでいません。

 しかも、現在の厚生年金支給開始年齢の引き上げを前倒しするとなれば、六十五歳までめどがついた途端に年金が逃げていく感は否めません。

 先進諸国でも米国は引き上げ開始決定から完了までの期間に四十四年もかけています。十分な時間をかけなければ、社会が混乱するためです。

 厚生年金だけでなく、自営業者らが加入する国民年金の支給開始年齢の引き上げも行われます。国民年金では無職の割合が増加しています。こうした人の高齢期の生活をどのように安定させるのかは示されていません。

●雇用政策と整合性は

 経団連も年金支給開始年齢の引き上げについて「雇用政策との整合性を確保する必要がある。高齢者雇用対策に係る政府方針の確定までの間、その検討を凍結すべきだ」とする意見を表明しています。

 年金財政を含め、少子高齢化で財政が厳しいのも事実です。ただし、今回の年金支給開始年齢の引き上げは、雇用政策を抜きにした財政面のみの発想、と取られかねません。雇用政策と十分連携しなければ、国民の理解も難しいと思われます。

 制作・亀岡秀人

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