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【生活図鑑】

社会保障と税 年金充実(No.368) 見直し案あるが実現は?

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 2010年代半ばまでに消費税率を段階的に10%に引き上げるとの方針を盛り込んだ社会保障と税の一体改革。財源だけの議論に終始した印象を拭えません。そもそも一体改革となる本丸の社会保障はどのような案なのでしょう。まずは年金の充実案について見てみます。

 一体改革は、国民が安心して社会保障を受けられる制度づくりが目的でした。そのための財源論も併せて行うとされていました。なかでも年金制度は、国民の関心が高い分野です。

●資格期間を短縮

 年金制度で充実するとされた項目では、まず新年金制度があります。民主党案では最低保障年金七万円(月額)、職種に関係なく同じ制度に一元化するというものです。しかし、具体的な設計は一向に進んでいません。制度移行に四十年かかるとして、国民的な合意に向けた環境を整備するとされただけでした。

 このため、廃止するとした現行制度の手直しを行うことが充実項目の柱になっています。

 最低保障の充実として、低所得者、障害基礎年金への加算を項目に挙げました。しかし、加算内容や、加算に際し資産調査をどの程度行うのかなど具体策はありません。

 また、現在、年金を受給するには最低二十五年の資格期間が必要です。諸外国に比べても長すぎ、無年金者を生む要因との批判が以前からありました。これを受け、政府として短縮を打ち出しました。

 ただ、期間を短縮すれば、資格を取得すると意図的に加入を辞め、結果として低年金になる人も出てくるとの懸念を、厚生労働省などが指摘しています。例えば十年に短縮することが考えられているものの、何年に短縮し、いつから実施するのかなど具体策はこれからです。

●パートの加入拡大

 非正規労働者が増加するなか、パート労働者の厚生年金への加入を拡大することも盛り込まれました。加入条件を現在より緩くし、例えば雇用保険と同じく週の所定労働時間が二十時間以上(現在はおおむね三十時間)などにすれば、約四百万人が新たに厚生年金に加入するとしています。

 しかし、パートの厚生年金加入の拡大は、〇七年にも法案化されたものの、廃案になりました。厚生年金に加入すれば年金額は増加する一方、保険料負担(労使折半)も発生します。このため、本人、事業主とも反対する意見が根強くあります。どのように合意形成をしていくかなどは未定です。

 会社員の夫に扶養される専業主婦など第三号被保険者制度の見直しも行うとしています。見直しとしては「夫の支払った保険料の半分は妻のものとして取り扱う」などの意見が出されてきました。しかし、それぞれ問題があるとして実施されていません。また、民主党の新年金制度案では、夫婦世帯で所得を合算し、それを二分の一にし、それぞれ負担と給付を行う「二分二乗」が示されています。

 このほか、給与額によって年金が減らされる六十歳代前半の在職老齢年金の削減限度額を、削減が緩やかな六十歳代後半と同じにします。単純に考えれば、雇用される六十歳代前半の年金額が増える人が多くなります。

 これらは、一二年以降、速やかに法案を提出することになっています。しかし、これまで課題として挙がり、ある程度議論されてきた項目もあるものの、具体的な内容には踏み込んでいません。また、国民的な合意が得られていないものも多く、どのように達成するのか、懸念もあります。

 制作・亀岡秀人

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