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【生活図鑑】

社会保障と税 年金の負担額(No.369) デフレでも給付を抑制

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 消費税10%議論だけが目立った社会保障と税の一体改革。年金制度の効率化案として、新たな負担も示されました。年金支給開始年齢の引き上げや、物価が下がるデフレ経済でも年金額の抑制を行う「マクロ経済スライド」の実施、高所得者の年金給付の見直しなどが掲げられています。年金の充実に懸念が残るなか、負担増の具体的な方向は?

 まず、能力に応じた負担を求めるとして、標準報酬月額の上限の引き上げを掲げました。標準報酬は給与に基づき、保険料や年金額の基礎となるものです。現在の上限は月額六十二万円です。しかし、健康保険の上限は百二十一万円です。このため、年金の標準報酬月額も健康保険並みに引き上げる方向です。

 引き上げられれば、六十二万円を超える高所得者の保険料負担は増します。一方、標準報酬により年金額が決まるため、引き上げによって、年金額も増えることになります。そこで、引き上げても給付に反映しない仕組みを検討する方針です。

 また、年金充実のなかで低所得者への年金額の加算と合わせて、高所得者の老齢基礎年金の減額が盛り込まれています。減額の対象は老齢基礎年金のうち公費負担分(現在、基礎年金の二分の一)です。例えば、年収一千万円以上から減額を開始し、千五百万円以上は公費負担分をゼロにすることが示されています。

●マクロ経済スライド

 物価や賃金の上昇に際して、年金額の上昇幅を抑制する「マクロ経済スライド」を二〇〇四年に導入しました。しかし、物価や賃金が下落するデフレが続き、マクロ経済スライドは実施されていません。

 現在は、物価が上昇しても年金額を据え置き、物価が基準年より下がった場合、その分だけ年金額を引き下げる特例水準ルールを行っています。

 そこで、デフレ経済下でもマクロ経済スライドを実施することが検討されています。実施されれば、例えば物価が0・1%下落し年金額も0・1%下がる状況なら、さらにスライド幅0・9%分を下げ、年金額は1%減額されることになります。

 これは、経済情勢に関係なく、必ず毎年、年金額を0・9%分減額することです。公費はこれにより毎年一千億円縮小すると試算しています。ただ、年金額が減るだけに、支給額の変化、将来の年金水準など、国民への説明が不可欠です。

●支給開始年齢引き上げ

 先進諸国の例を参考に年金支給開始年齢の引き上げも明記されています。現在、厚生年金の支給開始年齢は段階的に六十五歳へ引き上げ中です。また、老齢基礎年金は六十五歳からの支給です。

 この支給開始年齢を六十八〜七十歳へ引き上げ、さらに厚生年金引き上げの前倒しも検討するとしています。

 支給開始年齢の引き上げやデフレでのマクロ経済スライドの実施は財界などが強く求めています。しかし、年金の充実に比べ、給付の抑制のみが先行しそうな気配もあり、今後の議論から目を離せません。

  編集・亀岡秀人

  デザイン・佐藤恵理

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