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【生活図鑑】

社会保障と税 病床再編(No.370) 医師増やし入院短縮 たらい回しなくなる?

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 医療崩壊が叫ばれるなか、社会保障と税の一体改革でも、病院・病床の大胆な再編や在宅医療の強化が示されています。病床配置など医療供給体制はどのように変わるのでしょうか?

 一体改革案は、自公政権時代の社会保障国民会議の結論や、厚生労働省が進めてきた病院・病床再編政策をほぼ踏襲した内容です。

 医療崩壊といわれる現状を、医療・介護を担う人材が不足、さらに医師が偏在し、医療サービスなどが十分に提供されていないと分析しています。このため、二〇二五年ごろまでに改革を行うとしています。

 柱は(1)病院、病床の再編(2)見直しによる効率化で入院日数を短縮(3)在宅医療の充実−などです。このため、公費を大胆に投入します。

●緊急性により区分

 基本となる計画案では一般病床を、二五年時点で高度急性期、一般急性期、亜急性期・回復期リハビリテーション等に再編します。

 また、地方では明確な病床区分が難しいため、機能別の再編が実情に合っていないと指摘。このため、地域一般病床(高度急性期からリハビリまで)を創設する案が盛り込まれました。長期療養(慢性期)は病床を二十三万床から二十八万床に増やします。

 医療・介護機関から見た体制は、小中学校区レベルでかかりつけ医などによる日常的な医療・介護サービスを提供。人口二十万から三十万人単位で救急病院など基幹病院を中心にリハビリ病院などとネットワークを築きます。都道府県レベルでは、救命救急やがん、先進医療などの高度医療を行う病院を整備します。

 医療・介護従事者を一一年に比べて一・五倍から一・六倍まで確保します。とくに高度急性期は二倍、一般急性期は一・六倍、亜急性期などは一・三倍に増やします。

●ベッド不足解消目指す

 病院・病床の再編と医療従事者の集中配置により、入院期間を大幅に短縮する考えです。現在、一般病床の平均入院日数は十九日から二十日です。これを、高度急性期で十五日から十六日へ、一般急性期で九日へ短縮することを目指しています。長期療養病床も百五十日から百三十五日へ短縮します。

 入院期間が短縮すると何が違うのでしょうか? 短縮すれば、ベッドが空くことになり医療機関は患者を多く受け入れやすくなります。ベッドが空いていないから受け入れられない、といった問題が解消されます。

 入院期間の短縮により、退院患者数は一一年の月百二十五万人から百四十八万人に増加します。これにより、全体の病床数は現在の百六十六万床から、二五年でも百五十九万床で足りるとみています。

●在宅患者増加へ

 一方、患者から見れば、医療的には必要な処置がなくなったとしても、完全に治癒する前に退院することになるのではないかと指摘されています。このため、リハビリ機関などとの連携が重要になってきます。

 また、在宅医療の患者も増加する見通しです。厚労省の試算では、現在の一日あたり十七万人が二五年には約一・七倍にあたる二十九万人に増える見込みです。このため、介護分野と連携し在宅医療を強化します。

 以前の医療費の抑制方針から、医療崩壊を食い止めるため必要な措置を行うことがあらためて確認されました。果たして、医療体制が今後どのように変わるのか? 患者の視点も取り入れた改革になるのか、見守る必要があります。

 制作・亀岡秀人

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