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【生活図鑑】

社会保障と税 患者負担(No.371) 高額療養費軽減には受診時定額負担が必要!?

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 長期入院の自己負担を軽減する一方、医療機関を受診する際に定額負担を求めることなどが社会保障と税の一体改革で示されました。診療所・病院などの外来受診の5%減少も掲げられました。医療と介護の報酬改定とも関係し、診療関係の論議が進んでいます。診療、医療はどのようになるのでしょうか?

 患者の負担が軽減されるものでは、一カ月あたりの医療費の自己負担(医療機関での窓口負担)が限度額を超えた場合、超えた分が戻ってくる高額療養費制度を見直します。

 がんなど長期療養を行う場合、現在の制度では月をまたぐ入院などでは患者の年間負担が重くなりがちです。このため、長期間の療養に対応し、年間での自己負担限度額を設けるなどが検討されています。

 また、所得が低い人の自己負担限度額の上限を見直し、自己負担を軽くする方針です。見直しの費用は千三百億円と試算しています。

 このほか、社会保障と税の共通番号制度の導入を前提に、医療費の自己負担や介護保険の利用料、保育料などを合わせた支払いに、世帯収入ごとの上限を設ける「総合合算制度」の導入も示されました。これにより、低所得者の負担を軽減する考えです。

●窓口での負担増

 高額療養費の見直しとセットで示されたのが、受診時定額負担です。医療機関に初診、再診でかかる際、定額の負担を患者に求めるものです。負担額を百円とすると、新たに千三百億円の財源ができ、この分を高額療養費の見直しに充てるとしています。

 しかし、定額負担については、患者からみれば診療に対する負担なのか、理解しにくい面があります。医師会なども、定額負担は医療機関での患者の窓口負担が増えることになり、高齢者など医療を必要としている人が受診を控えかねないとして反対しています。

 また、社会保障と税の一体改革は閣議決定されていません。決定されていない案をもとに、医療関係の議論が進むことに懸念も示しています。導入されれば将来、負担額が例えば五百円などと膨らむとの懸念や、高額療養費の見直しとセットにすることに疑問の声も上がっています。

 処方薬も風邪薬、湿布薬などの患者負担額を市販薬を参考に見直すとして、負担増を行う方針も盛り込んでいます。

 また、当初七十歳から七十四歳の窓口負担割合は「二割へ引き上げ」と明記されていましたが、反対意見も強く、最終案で「自己負担割合の見直し」と具体的な数字は削除されました。

●外来受診5%減

 改革案では、外来受診の適正化も挙げられ、生活習慣病予防などで二〇二五年に現在より約5%外来患者数を減らすとしています。介護についても、介護予防などで要介護認定者を3%減少できるとみています。

 このほか(1)年金と同様にパート労働者などに被用者保険を適用する(2)高齢者医療制度を見直す(3)国保の財政を都道府県単位化する(4)介護保険でも保険料の負担を総報酬制にし、報酬の高い会社員がより多く負担する−なども挙がっています。

 ただ、高齢者医療制度などは本来、今年の通常国会に法案を提出する予定だったものが、合意が難しいとして見送られた経緯があります。

 医療・介護の報酬改定が迫るなか、今後の議論から目が離せません。

 編集・亀岡秀人

 デザイン・伊藤潤

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