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【生活図鑑】

なぜ下がる 国民年金の納付率(No.372) 背景に所得の減少と年々上がる保険料!?

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 国民年金保険料の納付率低下が止まりません。2010年度の納付率は59.3%と5年連続で低下し、過去最低を更新しました。なぜ納付率は下がり続けるのでしょうか?

 国民年金の保険料は、自営業者や学生らが納付します。納付率は、保険料の全額免除や学生納付特例などの対象者分を除いた、保険料を納めるはずの人の納付状況を示すデータです。国民年金制度が全国民に共通する基礎年金制度に変わった一九八六年度以降でみると、納付率は当初80%台でした。しかし、その後、景気低迷とともに低下。二〇一〇年度は前年度比0・7ポイント減の59・3%でした。

●20歳代は50%未満

 納付率が低下した理由として、厚生労働省・日本年金機構は年齢構成の若返りを挙げています。高齢世代層ほど、納付率は高い傾向にあります。五十歳代後半の納付率が70%を超える一方、二十歳代は50%に満たない状況です(一〇年度)。

 年齢層の若返りが、納付率にマイナス0・2ポイント程度影響したとしています。

●市場化テスト失敗?

 公共機関が行っていた業務を民間企業に委託する「市場化テスト」の影響も理由に挙げられています。保険料の納付勧奨は、民間企業の創意工夫やノウハウを生かすことが有望視され、市場化テストにより行われています。この取り組みにより、「経費削減や納付勧奨件数の増加になった一方、実績は低迷した」としています。

 年金事務所別の前年度の納付率に一定率を上乗せした目標を遂げたのは、三百十二カ所ある年金事務所のうち四事務所にすぎません。十月には「戸別訪問の重視」など市場化テストの運営改善を図ったものの、年度途中の取り組みで十分な効果があがらなかったと説明。市場化テストの運営が納付率にマイナス0・3ポイント程度影響したと推計されています。

 厚労省などの分析では上記の二つの理由が挙げられました。しかし、制度を根本的に揺るがす問題もあります。

 国民年金保険料の納付義務がある人(第一号被保険者)のうち、臨時雇用・パートや無職の割合は〇八年調査で56・7%に上ります。九九年調査で51・5%あった割合が下がらず、むしろ上昇しています。

 保険料を納付している世帯の年間所得も、九九年調査の六百二十九万円から、〇八年調査では五百五十五万円へと七十四万円も低下しました。保険料が年々上がるなかで所得が減っており、納付が難しいのは当然です。

●全額免除者が増加

 また、保険料の全額免除を受けている人は一〇年度に五百五十一万人、第一号被保険者の28%を占めます。免除者が年々増え、納付義務者の納付率も下がり続けるのが国民年金制度の現状です。

 実際、滞納者に理由を尋ねると「経済的に支払うのが困難」という答えが六割を超えます。次に多い「年金制度の将来が不安・信用できない」(14・3%)という答えも見逃せません。 

 すでに一一年度の納付率は六月末(五月分)で53・9%と、前年度をさらに下回る水準です。信頼できる制度づくりが求められています。

 編集・亀岡秀人

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