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【生活図鑑】

働く男女の待遇 なぜ違う(No.374) 埋まらぬ賃金格差、ILOも改善要請

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 2011年は国際労働機関(ILO)の「男女同一価値労働同一報酬」条約採択から60年、男女雇用均等法の施行から25年に当たります。日本は1967年に同条約を批准したものの、男女間の賃金格差は先進国の中では最大です。また、管理職などに占める割合にも男女格差があります。このため、ILOは11年、日本政府に対して改善の要請を行いました。

 男女の格差を基にした国際比較(内閣府)によると、女性の就業者数、労働時間、時間あたり賃金はいずれも男性の70%前後で、それらを掛け合わせた賃金総額は男性の三分の一にすぎません。

 日本はILOの同一報酬条約を批准しているため、男女の賃金格差の改善義務を国際的に負っています。ILOも委員会報告で日本の状況を取り上げ、〇九年(〇八年報告書)に続き一一年(一〇年報告書)も対日要請を行いました。

 男女の賃金格差については、賃金格差の要因分析、さらには地方自治体を含む公共部門での男女労働者の収入などによる情報の提供などを求められています。

 国内では、男女の賃金格差は統計上、平均値をとっているためで、同じ役職の男女なら差はないという反論もよく聞きます。

 しかし、厚生労働省は、勤続年数、役職(部長、課長等)などが影響していると指摘。とくに、管理職に就く女性が少なく、仮に男性と同様に管理職に就いたとして調整を行えば、男女格差の改善度合いが高いと分析しました。処遇の格差が賃金にも反映した結果と考えられます。

 国際的に見ても管理職に就く女性の比率が低く、政治、雇用分野などでの女性の積極的な登用策の実施などが求められています。

●間接差別もなお

 ILOは間接差別についても報告を求めています。

 間接差別は、採用は男性に限るといった性別による直接差別でなくても、転勤や身長を採用条件とするなど、結果的に男女差別に当たるものをいいます。

 欧米では禁止の法制化などがされているものの、日本では当初、見送られました。ILOや国連などの指摘を受け、〇七年にようやく改正男女雇用均等法で間接差別禁止の法制化が行われた経緯があります。

 ただ、政令で示されている禁止例は、合理的な理由なしに(1)身長、体重、体力を条件として募集・採用などを行う(2)「転居転勤」を要件とした総合職の募集・採用(3)「転勤経験」を昇進の条件にする−の三例のみを挙げています。

 これ以外の事例でも差別があることから、ILOは政府に政令などの見直しを求めています。

●コース別雇用管理

 職種、資格や転勤の有無などによって異なる雇用管理を行うのが「コース別雇用管理制度」です。コース別管理は、間接差別に当たるとして裁判も行われ、違法との判例も出ました。

 しかし、厚労省の調査では、コース別管理を採用する企業の割合は上昇し続け、一〇年度で11・6%でした。従業員千人を超える企業では約半数が採用しています。

 このため、ILOは政府が企業に対しどのような指導を行っているのか、コース別管理が女性の所得に及ぼす影響、管理への苦情などの報告を政府に求めています。

 日本ILO協議会の木村愛子理事長は「日本はILOの要請を受け止め、均等待遇の実現などに真剣に取り組む必要がある」と指摘しています。

監修・日本ILO協議会

 編集・亀岡秀人

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