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【生活図鑑】

公正証書(No.375) 遺言以外にも活用範囲広がる

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 遺産相続などのトラブルを未然に防ぐため、公証人による公正証書遺言を残す人が増えています。身近になった公正証書ですが、遺言以外にどのようなものがあるのでしょうか。

 公正証書は公証人が作成する公文書です。高い証明力があり、私的な法律紛争を未然に防ごうとの意識から、利用が増えています。

 とくに公正証書遺言は遺言への関心への高まりとともに、年々増加。一九八九年に約四万一千件だった作成件数が、二〇一〇年には八万二千件と倍増しています。

 遺言以外にも、土地や建物の売買・賃貸借、金銭の貸借、フランチャイズ等の契約などにも利用されています。また、成年後見制度で任意後見契約を結ぶには公正証書が必要です。

●裁判でも法律上有効

 最近の権利意識の高まりから、公正証書の一種として、その重要性を増しているのが「事実実験公正証書」です。事実実験公正証書とは権利・義務や法律上の地位に関係する重要な事実について公証人が直接確認して、その確認した内容を公証人が記述した証書です。

 例えば、土地の境界争いが生じている場合、土地の境界の現況がどうなっているかを公証人に直接現地へ赴いて確認してもらい、その内容などを公正証書にすることができます。

 また、顧客情報など自社の重要秘密に関する資料を持ち出した従業員について、刑事告訴に備えてその動機や経緯等の供述した内容を公正証書にすることもできます。

 いずれも、公正証書の法的証明力が認められることから、裁判の場でも法律上有効な文書とされています。金銭の支払いについては、裁判手続きを取らないで、強制執行をすることができます。また、原本は公証役場に保管されるため、作成後の改変や紛失の心配がありません。

●尊厳死宣言公正証書

 過剰な延命治療を行わず、自然な死を迎えたいと望む人が多くなってきました。尊厳死の意思表示を公正証書にする例もみられます。

 「尊厳死宣言公正証書」と呼び、依頼人が自らの意思で延命措置を行わないとの意思表示を、公証人が聴取して、その内容を公正証書にします。

 証書は、尊厳死を迎える状況になる以前に、担当医師などに示す必要があります。

 ただ、医療現場では、必ず従わなければならないとは考えられていないことから、必ず尊厳死が実現するとは限りません。しかし、尊厳死の意思表示を尊重するとの考えの医師も多く、証書の意義も大きくなっています。

 公正証書は将来の紛争を防止するなど、活用範囲の広い制度といえます。日本公証人連合会の匹田信幸広報委員長は「公証制度は、国民の法的紛争の未然防止を図る重要な制度です。利用が進むよう、公証人の活動も充実させていく考えです」と述べています。

 編集・亀岡秀人

 デザイン・浅野裕作

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