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【生活図鑑】

パートの社会保険 年金(No.376) 保障拡充 課題は加入基準

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 短時間労働者(パート)の社会保険への加入が検討されています。パートなど非正規で働く人は3人に1人に上ります。非正規で働く人の社会保障を充実させるため、加入拡大が望まれています。拡大とは加入基準の見直しです。見直しの影響は?まずは厚生年金の加入拡大について。

 短時間労働者数(週三十五時間未満)は二〇一〇年で千四百十四万人、雇用されている人のうちの26・6%を占めています。パートの七割は女性です。パートなど非正規比率は年々上昇する一方、国民年金の未納・滞納が増えています。このため、非正規労働者のセーフティーネットを拡充するためにも厚生年金への加入拡大が必要とされています。

 厚生年金加入の目安は、年収に関係なく週の所定労働時間がおおむね正社員の四分の三(週三十時間)以上です。四分の三未満でも、年収で百三十万円以上なら保険料を負担して国民年金に加入します。このため、パートで働いても就労調整し、自らは保険料を負担しない、いわゆる会社員世帯の専業主婦(第三号被保険者)を選択する人もいます。

 今回、基準として雇用保険の加入条件である、所定労働時間が週二十時間以上、三十一日以上の雇用見込みがあることが考えられています。この基準なら新たに約四百万人が厚生年金の対象になるとみられています。

 〇七年にも週二十時間以上、年収百十七万円(月九万八千円)などで法案化されましたが、廃案になりました。この基準では拡大対象者が四十万人と少なかったうえに、産業界から事業主分の保険料負担で反対などがあったためです。

●1→2号なら負担減

 では、国民年金(一号、自営業者など)、専業主婦(三号)から厚生年金(二号)に加入が変わると保険料や年金額はどうなるのでしょうか?

 試算では、労働時間は雇用保険適用の週二十時間、収入は(1)九万八千円=厚生年金の最低標準報酬月額(2)六万五千円=都市部の最低賃金で働いた場合(3)五万五千円=全国平均の最低賃金で働いた場合−としました。(3)はこれまでも案として浮上し、社会保険の適用年収百三十万円を六十五万円にした場合の健康保険の最低標準報酬月額などに相当します。試算は(1)は厚生労働省、(2)と(3)は独自に行いました。

 その結果、一号から厚生年金に加入する人は、保険料(本人分のみ)負担が減少し、年金額は基礎年金にプラスして厚生年金が支給されるため増加します。

 一方、専業主婦から厚生年金に加入する人は保険料負担が発生。年金額は増加します。

 年金額以外にも、厚生年金に加入すれば国民年金よりも障害年金の給付が厚くなります。

●逆転現象

 試算によると、国民年金の一号から厚生年金に移ると、標準報酬月額九万八千円なら本人分の保険料負担が国民年金より減り、逆に年金額は増えます。さらに、六万五千円や五万五千円では、事業主負担も含め、同様になります。厚生年金加入で保険料負担が軽くなり、年金額が増えるという現象が起こります。

 標準報酬月額六万五千円や五万五千円の設定を行うのか? 二十時間の基準を設け、標準報酬月額の最低を下げなければ、低収入のパートの人の保険料負担感は重いものとなります。

 社会保険の基本は応能負担であることや、国民年金のみ保険料を定額負担としている制度自体に問題がある、最低標準報酬月額を健康保険並みの五万八千円程度にする必要がある−と、これまでも指摘されています。厚生年金の加入拡大がどこまで進むのでしょうか?

 編集・亀岡秀人

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