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【生活図鑑】

パートの社会保険 医療(No.377) 健康保険内で移動の影響大きく

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 パートなど非正規で働く人の増加により、国民健康保険の保険料を払えない人が増えています。医療の無保険者も社会問題化するなど、皆保険制度が崩れようとしています。このため、非正規の社会保険加入の拡大が検討されています。拡大すれば、何が変わるのでしょうか?

 健康保険組合連合会(健保連)の試算では、加入基準を雇用保険並みの「労働時間週二十時間以上」にすると、被用者(サラリーマン)保険に新たに四百七十七万人(男性約百十八万人、女性約三百五十八万人)が加入するとしています。

 医療保険制度間では、国保から百八十一万人と、それに伴う被扶養者四十七万人が加入。組合健保や協会けんぽなど被用者保険内では、これまで扶養されていた二百九十六万人が新たに本人として加入するとみています。

●加入で負担減も

 国保の保険料は自治体によって計算方法が違うため、一律ではありません。厚生労働省の試算によると、国保から協会けんぽに加入する場合、単身世帯などは保険料負担が減ります。半面、自営業者の妻の場合は増えそうです。 

 被用者保険でこれまでパートで被扶養者だった人が、新たに本人として協会けんぽに加入する場合は、年額六万五千円(介護保険料含む)の負担増になります。年金の保険料負担約九万七千円と合わせると、年間約十六万二千円増です。

 給付は医療の場合、これまでと基本的には変わりません。しかし、健保に本人として加入することで、傷病手当金や出産手当金の対象になります。健保組合によっては付加給付も受けることができます。

 被用者保険の被扶養者だった人には、負担増の懸念もあります。しかし、社会保険料は税控除の対象になるため、実質的な負担はさらに減ることになります。また、年金の専業主婦問題と同様に、ライフスタイルと社会保障の在り方が問われているといえます。

●財政の調整課題

 健保連の試算では、被用者保険全体で保険料収入が増えるものの、後期高齢者支援金などを含めると約二千四百六十億円の財政悪化になるとしています。

 ただ、一律に健保組合などの財政が悪化するわけではありません。被用者保険内で見れば、正社員比率が高い製造業などからパートなど非正規雇用比率の高い第三次産業や中小企業へ、加入者と負担が移動することになります。

 このため、パートなら従来のように国保か、被扶養者として正社員比率の高い産業が負担するのか、それとも非正規のセーフティーネットの充実という観点から、雇用している企業が負担するのがよいのかという問題が浮かび上がります。

 また、被用者保険で二千四百六十億円の財政悪化といっても、現状は国保でその分を引き受け、財政が苦しい状態です。被用者保険内でも、大企業の多い組合健保、中小企業の多い協会けんぽで財政力も違います。

 このため、被用者保険内、さらには国保も含め医療保険で財政調整を行うのかなど、医療制度の在り方を含め、今後の課題になりそうです。

  制作・亀岡秀人

  デザイン・刀祢絢子

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