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【生活図鑑】

専業主婦年金の見直し(No.379) 夫婦共同負担案なら遺族年金半減も

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 会社員世帯の専業主婦(第3号被保険者)の年金問題で、夫が払った保険料の半分は妻が支払ったと見なす夫婦共同負担案の導入が検討されています。保険料の負担なしで基礎年金が支給されると批判されてきた問題への一定の解決策です。しかし、遺族年金や障害年金はどう改善されるのでしょうか?

 専業主婦は保険料を納めず年金を受給します。専業主婦の保険料は会社員全員で負担しているため、共働き世帯や単身世帯には、自らの保険料のほかに専業主婦の保険料まで負担しているとの不公平感があります。

 このため、厚生労働省は夫の保険料の半分は専業主婦が納めたと見なす案を示しました。二〇〇四年に法制化した離婚時の年金分割によると、専業主婦は保険料を共同して負担したとの考えが示されています。今回の案もこれに準じて厚生年金の分割を行う見通しです。

●世帯で見れば変化なし

 具体的に見てみましょう。一一年度の保険料率や年金支給の計算方法を用いて月収五十万円の専業主婦(片働き)世帯と共働き世帯(夫三十万円、妻二十万円)の場合で試算してみました。

 保険料は世帯で見れば月額約四万一千円(本人負担分のみ)、年金額は世帯では約二十四万円になります。新たな案では、専業主婦の夫の厚生年金を分割することになり、夫と専業主婦で厚生年金額が約五万四千円ずつになります。

 世帯で見れば保険料と老齢年金額は変わりません。専業主婦の保険料負担の仕組みも変わらず、問題も残ります。

●65歳分割だと高齢で減

 現行は、六十五歳以降の専業主婦の遺族厚生年金額は約八万一千円。これに対し共働き世帯の妻は約五万四千円です。このため、専業主婦に有利と指摘されています。

 新しい案では、六十五歳以降の専業主婦の遺族年金額は約五万四千円になり、共働き世帯と同水準になります。この点では不公平感は解消されるものの、専業主婦世帯の受給額が減少します。

 六十五歳より前に夫が死亡した場合はどうなるのでしょうか。基本的には離婚時の年金分割を踏襲すると考えられ、夫の死亡時に厚生年金を半分に分割、専業主婦の遺族年金額は約四万円になります。

 遺族厚生年金額が減るのを防ぐため、もし六十五歳から分割したなら、六十五歳前までは八万一千円で六十五歳以降は五万四千円と、高齢期に年金額が減る逆転現象が起こります。さらに減額分を補填(ほてん)すると、共働き世帯との不公平感の解消につながりません。

 障害年金も離婚時の年金分割が前提になりそうです。例えば、夫が五十歳で障害認定された場合、障害厚生年金額はそれまでの保険料に基づく年金額で計算され、この時点では専業主婦への分割はありません。

 分割対象になるのは、夫が障害認定後も会社員として働き厚生年金に加入した場合になる見通しです。

●姉さん女房は得

 老齢年金でも、年下の専業主婦と年上の世帯では世帯収入が大きく変わることになります。

 例えば五歳年下なら、夫が六十五歳になった時点では厚生年金は二分の一しか支給されず、専業主婦の妻が六十五歳になった時点で現行制度と同じ年金額になります。

 一方、年上の妻の場合、逆に現行制度より年の差分だけ二分の一の厚生年金額が多くなることも考えられます。こうした場合、年下の妻世帯に加算、年上の妻世帯に減額を行うのか。また、自営業者世帯なども同様の仕組みを取り入れるのか−といった課題があります。

  編集・亀岡秀人

  デザイン・伊藤潤

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