東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 生活図鑑 > 生活図鑑シリーズ・バックナンバー > 2011年の記事一覧 > 記事

ここから本文

【生活図鑑】

介護労働者の賃金(No.382) 交付金終了 待遇改善はどうなる

写真

 介護労働者の賃金アップをめざして導入された「介護職員処遇改善交付金」が2012年3月末で終了します。介護労働者の処遇改善のため、介護報酬で引き続き、処遇改善措置を行うなどが議論されています。介護労働者の賃金や労働環境は改善されたのでしょうか?また、処遇改善の課題は?

 介護労働者の約83%は女性です。訪問介護員(ホームヘルパー)では約93%にも達しています。また、正社員と非正社員の比率はほぼ同じで、訪問介護員では約84%が非正規です。訪問介護を中心に女性で非正規という働き方が定着し、処遇もなかなか改善されてきませんでした。

 介護労働者の平均年齢は四十五歳で、約88%が中途採用です。訪問介護員以外でも非正社員の大量採用、大量離職が続いています。

 介護労働者の採用率と離職率を見ると、離職率は〇七年から低下してきたものの、一〇年は17・8%と上昇に転じています。採用率も低下傾向でしたが、緊急雇用対策で介護が重点分野とされたことなどもあり、〇九、一〇年は上昇しています。

 所定内賃金(月額平均)は二十一万六千四百九十四円でした。

●介護報酬内でアップ

 処遇改善交付金は、〇九年一〇月から介護職員一人当たり月額平均一万五千円(常勤換算)を交付している制度です。条件に合った場合、介護報酬とは別に支給されてきました。

 厚生労働省の調査では、交付金を申請した事業所の介護職員の平均月額給与(常勤換算)は、〇九年六月と一〇年六月を比べた場合、一万五千百六十円増加していました。しかし、一二年三月末で制度が終了することから、処遇改善をどのように継続するかの議論が進んでいます。

 厚労省は交付金制度を廃止する代わりに、一二年度から介護報酬の中で処遇改善加算として実施する案を示しています。事業者が報酬を加算できる条件として、介護労働者の賃金が一一年度末を下回らないことなどを挙げています。

●報酬加算の効果疑問

 〇九年四月から、処遇改善の目的で介護報酬が3%アップされました。厚労省の調査では、一〇年の介護事業者の収支差率を報酬アップ前の〇八年と比較すると、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)では12%に、訪問介護事業所でも2%台にそれぞれ改善しています。

 一方、介護労働者の賃金の状況を見ると、給与比率は特養老人ホームで4・3ポイント、訪問介護事業所は11ポイントも下がりました。

 処遇改善のため介護報酬を3%アップしたものの、その効果が給与に反映されたのか問われる状況です。

 介護報酬内で交付金制度と同等の規模にすると、介護報酬約2%に相当するとされています。果たして、2%相当分が介護労働者の賃金など処遇改善に回るのかという懸念も出ています。

 しかし、介護労働者の処遇改善は本来、介護報酬の中で行われる必要があります。高齢化が進む中、介護の担い手をどのように育成していくのか。処遇改善の仕組みができなければ介護の未来もありません。

  制作・亀岡秀人

ご注文はこちらから
 

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】