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【生活図鑑】

有期雇用(No.384) 止まらぬ収入減 進まぬ待遇改善

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 派遣やパートタイムなど期間が定められた契約で働く人の約75%は年収200万以下です。契約期間や勤続年数は2年前に比べて長くなる傾向にあります。2008年のリーマン・ショック以降、雇い止めなどが問題になった有期雇用。待遇などはどのように変わったのでしょうか。

 厚生労働省の「有期労働契約に関する実態調査」によると、有期契約で働く人の平均年齢は一一年が四四・〇歳と〇九年より四・一歳高く、四十代半ばが中心になっています。派遣が大幅に減る一方で、短時間のパートなどが増えています。

 収入は低下しています。年収二百万円以下の割合は〇九年が57・3%だったのに比べ、一一年は74・0%にまで広がりました。三百万円以下で見ると、有期雇用の88・4%にも達しています。年収二百万円以下は働く貧困層(ワーキングプア)とも呼ばれ、有期の働き方が大きく関係しています。

 このため、主たる収入源も「勤務先一カ所からの賃金収入」の割合が59・1%から37・5%へと低下しました。

 退職金についても、有期契約労働者に退職金がないとの回答が、〇九年から一一年は約10ポイントも上昇しています。

●昇進・正社員化に壁

 昇進については、事業所調査では「昇進することがある」との回答が若干増えたものの、個人調査では「昇進することはない」とする割合が増加。正社員への転換制度も、個人調査では事業所調査とは逆に「ある」割合が減少、「ない」とする割合が増えています。

 賃金・待遇面で事業所は改善したとの回答が多いのに対し、有期契約労働者は逆で、直接的な改善には至っていないようです。

 このため、有期契約労働者には賃金・待遇に対する不満が多く、「賃金などの労働条件を改善してほしい」との希望が増えています。

●勤続年数は長期化

 有期雇用の契約期間は原則三年、専門分野は五年とされています。契約更新回数に制限はありません。

 契約更新回数は十一回以上と答えた事業所が一一年で18・9%と、〇九年に比べ4ポイントも増加。個人調査でも、平均勤続年数の上限は〇九年の三・七年から五・九年と大幅に延びています。

 有期契約労働者が雇用できなければ「事業が成り立たない」と答える事業所は79・7%と、〇九年比で26ポイントも増加。有期雇用の重要性が増していると同時に固定化も進んでいるといえそうです。

 雇い止めが問題になったのを機に、契約・更新や雇い止めに関する基準が再確認されました。この結果、97%が契約時に期間の明示を書面などで行っています。雇い止めについては、過去二年間に実施した事業所は35・5%でした。

 契約期間が長くなる傾向にあるとはいえ、一回当たりの契約では六カ月から一年が最も多くなっています。短期間の更新を繰り返す不安定な労働環境であることに変わりはありません。

 このため、欧州連合(EU)などのように有期契約労働について契約期間、更新の制限を設ける必要があるとの指摘も強くなっています。

   制作・亀岡秀人

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