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【生活図鑑】

年金記録問題の今(No.386) 紙台帳と突き合わせ、不一致も増加

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 年金記録問題が浮上して約5年が経過しました。老後生活の柱である年金の記録が消えたり、間違っていることが判明、政権交代にまで発展しました。また、紙台帳とコンピューター記録の照合が始まって約1年、記録が不一致の割合は当初のサンプル調査の見込みを上回っています。記録問題はどのようになっているのでしょうか?

 民主党政権は紙台帳とコンピューター記録の照合を行うことを公約にしています。また、自・公政権でも「最後の一人まで記録問題を解明する」としてきました。このため、日本年金機構では紙台帳とコンピューター記録の不一致状況を突き合わせています。

 サンプル調査(二〇一一年五月発表)では、記録の不一致が3・5%あり、単純計算では約二百六十六万人分に当たるとされました。突き合わせてみると、厚生年金で「標準報酬月額」「加入期間」などの不一致が見つかりました。突き合わせ作業を委託している事業者分も含めると、記録の不一致があったのは、一一年九月末で突き合わせ数の9・4%、約百四十九万八千人にも上っています。

 これについて、年金機構は「年金を既に受給している人で、サンプル調査で不一致率の高かった厚生年金の台帳との突き合わせを優先させたため」と分析しています。今後、国民年金の台帳との突き合わせが進めば、不一致率も下がるのではないかとみられています。

 不一致分は本人へ通知を発送後、回答を待つという流れです。ただ、委託事業者の突き合わせ結果の確認は約七百人の年金機構職員が行っているのが現状です。記録解明を急ぐためにも、人員を含め今後、見直す予定です。

●高年齢は回復額多く

 紙台帳の突き合わせには費用と効果に対して疑問も出されました。サンプル調査時では、一人当たりの突き合わせ費用は三千四百円とされていました。特に国民年金では不一致率が低く、年金の回復見込み額も少ないことなどが指摘されました。

 一一年九月末時点で、年金回復見込み額が増額となるのは全体で十八万四千六百二十二人、一人当たり年平均一万二百円でした。ただ、六十五歳未満の人では四千円、七十五歳以上で一万五千六百円と年齢の高い層ほど回復見込み額が多くなっています。

●国・基金二重払いも

 厚生年金基金がある会社では、基金が厚生年金の一部を代行するため、基金も記録を管理しています。国による厚生年金の記録と不一致なら、どちらかが誤りです。

 一一年十月公表のサンプル調査結果では、記録の不一致により国・基金から代行部分の二重払い(年金額が本来より多い)となるのが三万一千件、逆に不支給(年金が本来より少ない)となるのが十三万五千件あると試算されています。

 国の年金記録の提供を受けた基金が、基金の記録との不一致分を国に調査依頼する流れが進められています。

●統合件数31%止まり

 記録が宙に浮いた五千万件のうち、一一年一月上旬までに基礎年金番号へ統合されたのは累計約千五百四十五万件(30・3%)でした。

 十一月下旬時点での統合件数は累計約千六百十二万件(31・6%)です。一月からの統合件数は、六十七万三千件の増加にとどまる足踏み状態です。

 解明作業中を含め、未解明の件数は約千九百五十万件もあります。未解明の記録の中には、解明が難しいものが多く残っています。

   編集・亀岡秀人

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