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【生活図鑑】

年金 官民格差(No.388) 共済の独自制度 受給で有利

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 年金は長年、「官高民低」と指摘されてきました。年金制度の歴史から官が優遇され、官民格差があります。このため、会社員の厚生年金と公務員などの共済年金を統合する被用者(サラリーマン)年金の一元化が課題になっています。給付ではどのような格差があるのでしょうか?

 厚生年金と共済年金は、基礎年金+報酬比例年金の二階建てなのは同じです。しかし、共済年金には公的年金として三階部分の職域加算部分があり、年金給付額に格差があります。

 基礎年金を含む平均年金月額(二〇一〇年三月末)は、厚生年金が十六万五千円、国家公務員共済が二十一万七千円、地方公務員共済が二十二万五千円などと、退職共済年金が老齢厚生年金より約三割高くなっています。

 一方、保険料は一一年四月で、厚生年金の保険料率が共済年金よりも高く設定されています。保険料率でも官民に格差があります。

●働く60歳代前半に差

 格差は年金額、保険料だけではありません。長い歴史の中で共済独自の給付方式などが出来上がっています。

 老齢年金の格差から見てみましょう。

 六十歳以降で働きながら年金を受給する場合、賃金に応じて年金が減額される在職老齢年金制度でも、共済の方が有利になっています。

 厚生年金では、六十歳代前半の場合、賃金と年金の合計額が二十八万円を超えると、賃金の増加二に対し年金一を停止(超過分の半額を年金から差し引く)などとなっています。六十歳代後半以降は合計額が四十六万円を超えた場合、賃金二に対し年金一を停止する仕組みになっています。

 六十歳代前半と後半では、後半の仕組みの方が受給面では有利です。

 共済も、引き続き公務員などの共済に加入した場合は、基本的に厚生年金と同じ仕組みです。ところが、共済から厚生年金、例えば公務員から民間会社へ再就職した場合は、六十歳代前半も六十歳代後半の仕組みが適用されます。年金受給面では、有利な条件で再就職できることになります。

 支給開始年齢の引き上げは、厚生年金の場合、女性は男性の五年遅れです。共済は男女に差がありません。厚生年金の女性の方が共済より早く年金を支給され、有利になっています。これは、民間では女性の社会進出が遅れたのに対し、共済では男女の賃金格差があまりないなどの実情に合わせたためです。

●遺族の権利にも違い

 共済には遺族年金に転給という独特の制度があります。厚生年金では、遺族年金の受給権は一代限りです。しかし、共済では受給していた遺族が受給権を失うと、転給制度で次の順位者が遺族年金を受給する有利な仕組みになっています。

 例えば、夫の死亡により遺族年金を受給していた妻が再婚した場合、厚生年金では遺族年金は打ち切られます。しかし、共済年金では妻への遺族年金が打ち切られても、転給制度により、生計の維持を条件に父母などが遺族年金を受給することができます。

 また、厚生年金の場合、死亡した人の保険料滞納期間によっては、遺族年金が支給されません。障害を負ったときに支給される障害年金も同様です。共済は保険料の納付状況は問われません。

 これらは、年金制度が官中心に制度化されたためのひずみです。厚生年金・共済年金の一元化では、厚生年金の給付制度に合わせるとされています。しかし、実際、一元化でどのような制度になるのか、注意深く見守る必要がありそうです。

    制作・亀岡秀人

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