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【生活図鑑】

苦境際立つ30代(No.391) 賃金激減し借金は増 どう改善?

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 経済の低迷、崩れる社会保障への信頼―。日本社会が閉塞感に覆われています。その負担が30歳代の勤労(サラリーマン)世帯を中心に重くのしかかっています。ここ10年余りで、給与所得や貯蓄の落ち込みは他の年齢層よりも大きく、縮む日本の象徴的な年齢層です。30歳代を中心にいま、何が起こっているのでしょうか?

 低迷する経済の影響を最も受けているのが三十歳代です。国税庁の民間給与実態統計調査によると、正規・非正規にかかわらず一年を通じて働いた人の二〇一〇年平均年収は、十年前の〇〇年に比べ全年齢層で落ち込みました。中でも三十〜三十四歳(三十歳代前半)は四十七万円、三十五〜三十九歳(同後半)は六十四万五千円と、それぞれ10・9%、13%の大きな落ち込みでした。

 男女別に見ると、男性の平均年収の減少は三十歳代後半で七十四万九千円と12・9%にもなります。加えて、三十歳代前半、四十歳代前半の年齢層が他の現役年齢層に比べ、給与水準が下がっています。女性の場合も三十歳代が他の年齢層に比べ、平均年収が下がっています。

●給与マイナス8%近く

 また、賃金構造基本統計調査を基に厚生労働省が試算した賃金カーブを見ても、〇五年以前と一〇年を比べると、三十歳代後半を中心に大きく落ち込んでいます。基本調査で〇〇年と一〇年を比較すると、短時間労働者を除いた一般労働者の男性の所定内給与額も、対〇〇年では三十歳代後半で7・7%減、三十歳代前半でも6・4%減と、他の年齢層よりも減少率が高くなっています。

 デフレ経済の影響やグローバル化による国際競争のあおりで、賃金を抑えられた影響が三十歳代を中心に色濃く出ています。

●重なる住宅購入期

 金融資産の状況も、三十歳代で負債超過額が他の年齢層に比べ、際立って多くなっています。総務省の家計調査では、サラリーマン世帯(二人以上)の三十歳代の貯蓄高は六百二十四万円、負債高は八百六十一万円で、二百三十七万円の負債超過です。統計の比較ができる〇二年から見ると、三十歳代のみが〇四年以降負債超過で、その額が大きくなる傾向にあります。

 三十歳代は初めて住宅を購入する時期であるため、住宅ローンなどの負債が大きくなります。一方で賃金の落ち込みで収入が確保できず、負債超過額が膨らんでいったことがうかがえます。

 賃金が他の年齢層に比べて大きく落ち込んだ結果、住宅ローンなどの負担が大きく、負債超過に陥っているというのが今の三十歳代のサラリーマン世帯です。

 このため、消費に回す余力は残されていません。可処分所得のうち、いくら消費に回したかを示す平均消費性向を見てみましょう。一九八〇年から十年ごとに三カ年平均で調べてみると、三十歳代が大きく落ち込んでいることが分かります。

●社会の活力支える世代

 特に〇〇年に一段と減少した後、一〇年も低迷したままです。この間、賃金は大きく減少していることを考えると、消費が一段と落ち込んでいることが考えられます。若者のクルマ離れなどの指摘は消費する余裕がないからとも考えられ、国内経済低迷の一因になっています。

 さらに、賃金の将来的な上昇が見込めず、年金・医療など社会保障への不安もあり、今後の収入や資産への不安を最も抱えている年齢層です。社会の活力を考える上で、今の三十歳代の置かれた状況を改善する必要がありそうです。

   制作・亀岡秀人

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