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【生活図鑑】

メンタルヘルス対策(No.394) 不利益な取り扱いは禁止

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 仕事や職場の人間関係の悩みなどを抱える労働者が増加しています。勤務問題を理由にした自殺も増加するなど、メンタルヘルス対策が急務です。そこで、健康診断などの際に、メンタルチェックを義務づける労働安全衛生法の改正案が国会に提出されています。メンタルヘルス対策の充実・強化策は、どのような内容なのでしょう?

 自殺者数は年間三万人を超える高水準が続いています。特に、勤務問題を理由にした自殺は二〇一〇年で二千五百九十八件と過去最高になりました。職場で労働者のメンタルヘルスの不調を把握し、適切な対応をする必要性が指摘されています。

 このため、職場で医師・保健師が労働者のメンタルチェックを行うことを事業者に義務づけた労働安全衛生法の改正案が国会に提出されています。具体的に見てみましょう。

●面接指導を義務化

 メンタルチェックは医師・保健師が行います。一般の定期健康診断で併せて行ってもよいほか、独自に行ってもよいことになっています。チェックする項目は、例えば「ひどく疲れた」など九項目を四段階で判断します。チェック結果については労働者に通知されますが、事業者には労働者の同意を得なければ通知しないとされています。

 メンタルチェックの結果、労働者が医師との面接を希望した場合、事業者は原則、面接指導を実施することが義務づけられます。一方、会社とは関係なくかかりつけ医など地域で面接指導や相談したい場合も認められています。ただし、この場合の費用は自己負担になります。

 面接指導の結果、医師からメンタルヘルス対策として、時間外労働の制限や作業の転換などが必要とされた場合、事業者は適切に対応しなければなりません。

 事業者は、労働者が面接指導の申し出をしたことや、時間外労働などの対策を行うことで不利益な扱いをしてはならないとされています。

 実施に当たって労働者のプライバシー保護は十分なのか、本当に不利益な扱いはされないのか−など懸念もあります。

 不利益になるのではないかと労働者が懸念すれば、面接指導の申し出を行わない場合も考えられます。これでは、対策強化につながりません。

 厚生労働省は、実施に際しては不利益事項に関して事業者への指針を作成し、労働者などの懸念をなくす方針です。

●中小企業の対応課題

 現在でも、時間外、休日労働が一カ月当たり百時間を超え、疲労などを感じる労働者などが医師による面接指導を申し出た場合、事業者は実施する義務があります。

 しかし、長時間労働による面接指導の義務づけを知っているのは事業所の50・6%にすぎません。中でも、十〜二十九人規模の中小企業では42・9%と、制度の認知度が低くなっています。

 中小企業などでも対策が十分行われるのかといった課題もあります。職場でのメンタルヘルスが問題になる中、法案審議の行方が注目されます。

    制作・亀岡秀人

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