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【生活図鑑】

在宅医療の現状と課題(No.399)  担当医師増やし 手厚い体制実現へ

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 在宅医療重視の方向が2012年の診療報酬改定で確認されました。高齢化が進む中、在宅介護、在宅医療の必要性が高まっています。このため、在宅医療の質を高め、医師数や24時間体制を強化する見直しなどが行われました。

 通院が難しいなど、自宅で療養を希望するお年寄りが増えています。また政府も、医療・介護は「施設から在宅へ」との姿勢を打ち出しています。このため、在宅介護とともに在宅医療・訪問看護の重要性が高まっています。

 厚生労働省の調査(二〇〇八年)では、在宅医療を受けた推計患者数は七万三千四百人(歯科も含めると九万八千七百人)と、〇五年に比べ約18%も増えました。しかも、調査は指定日に医療行為を受けた患者数から推計してあり、実態はさらに多いとみられます。

 社会保障と税の一体改革策定時の推計では、在宅療養を必要とする人は一一年度で十七万人。社会保障改革がある程度進んだ場合、一五年度で二十三万人、二五年度で二十九万人としています。

●1人体制が70%以上

 在宅医療の中心となるのは地域の診療所です。診療報酬では〇六年から、二十四時間体制で医師ないしは看護師が待機しているなどを条件に、在宅療養支援診療所を制度化しました。

 支援診療所として届け出たのは〇六年の九千四百三十四から、一〇年には一万二千四百八十七になりました。しかし、届け出数は一〇年で全診療所数の12・5%にすぎません。

 届け出診療所の72・4%は在宅担当医師が一人体制(日本医師会総合政策研究機構の実態調査)です。在宅担当の医師数が足りず、診療所に負担がかかっています。一人開業の診療所では、86%が一人の医師で緊急時に対応しているなど、十分な在宅医療体制が整っているとは言い難い状況です。

 また、在宅療養支援病院は一〇年の診療報酬改定で、それまで半径四キロ以内に診療所があると届け出ができにくかった条件を、二百床未満の病院なら届け出が行いやすいようにしました。このため、急増はしているものの三百三十一にとどまっています。

 そこで、体制を強化した在宅療養支援診療所・病院には診療報酬を手厚くしました。条件は(1)新たに在宅医療に携わる常勤医師が三人以上(2)過去一年間に緊急の往診実績が五件以上(3)過去一年間のみとり実績が二件以上−などです。複数の診療所などが連携して、この条件を満たしてもよいとされました。一連の見直しで、在宅医療に携わる診療所・病院の質を高める狙いがあります。

●情報共有、連携がカギ

 同時改定となった介護報酬では、二十四時間定期巡回・随時サービスが新たに制度化されました。今後、増加する在宅者に対応するため、医療・介護の連携が問われています。特に、患者や家族、医師、看護師、ケアマネジャーなどが参加して、要望に沿った在宅療養の計画などを話し合う在宅支援(医療)カンファレンス(会議)が重要です。

 届け出診療所の実態調査では、あまり参加していないと答えた医師が約40%いました。医療と介護の経営主体が違う場合の連携の難しさも指摘されています。

 届け出診療所・病院が訪問看護ステーション、ケアマネジャーや介護サービス事業所とどのように患者の情報を共有し、連携していくのかが問われています。

 在宅医療・介護の要望が高まる中、質の高い療養ができるのか重い課題です。

    制作・亀岡秀人

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