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【生活図鑑】

膨らむ政府の借金(No.400) 国債間接購入 暮らしに影響

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 日本の財政は危機的な状況にあります。国債など政府の債務残高の国内総生産(GDP)に対する割合は、先進国で最悪です。財政破綻の可能性もささやかれています。多くの国民は国債を直接保有していませんが、銀行預金、生命保険料などを通じて間接的に購入しているので、影響は極めて大きくなります。インフレ、公的年金の減額などの恐れもあります。

 政府の二〇一二年度一般会計予算は歳入総額九十兆三千三百三十九億円で、このうち借金である国債は四十四兆二千四百四十億円と半分近くを占め、歳入の柱であるべき税収を上回っています。極めて異常な状況です。

 財務省理財局の調べによると、国債や政府短期証券、借入金などを合わせた国の債務残高は一一年九月末で約九百五十四兆円あります。別に地方自治体の債務が約二百兆円あるので、政府債務残高は合わせて千百五十四兆円になります。

●先進国で最悪の割合

 日本の債務残高は絶対額だけでなくGDPとの対比で見ても、極めて大きいのです。経済協力開発機構(OECD)の調べでは、一一年末時点で日本の債務は212・7%とGDPの二倍を超え、先進七カ国(G7)の中で最悪です。昨年以来、欧州債務危機の震源地となったギリシャの165・1%をも上回っているのです。

 これだけの政府債務を抱えても、日本国債は今のところ、市場では買われ続け、十年物長期国債の市場利回りである長期金利は1%前後と、一時は30%を超えたギリシャなどに比べ、極めて安定しています。

 日本国債が市場で安定しているのには、それなりの理由があります。

 日本国債の安全性を主張する人たちは(1)日本は経常黒字国だから、外貨が豊富にある(2)日本には巨額の個人金融資産があるので、国内貯蓄だけで国債購入を賄える(3)国債保有者の約70%が海外投資家であるギリシャに比べ、日本国債は90%以上が国内投資家で、危機の時の「逃げ足」が遅い−などを挙げます。

 しかし、経常収支は一時的にせよ赤字になるなど、不安定な動きを見せています。

 個人金融資産は確かに一一年九月末で千四百七十一兆円と、巨額の残高はあります。しかし、国・地方の債務残高千百五十四兆円と対比すれば、三百十七兆円上回っているだけで、これが国債の購入余力になります。

 個人が国債を直接買っている比率はわずかですが、銀行や生命保険会社などは、個人から集めた預金や保険料で国債を購入、運用しているので、実質的には個人金融資産が国債購入の主な原資なのです。

 新規の国債発行額は当分は毎年度四十四兆円で、一方、国債費のうち債務償還費が十二兆円ほどあるので、差し引き三十二兆円ずつ債務残高が増えていきます。国債購入余力を三十二兆円で割ると、あと十年で限界に達することになります。実際には、復興債や交付国債など別枠の国債を発行しているので、限界に達するのはもっと早く、七、八年でしょう。

●年金削減、預金封鎖も

 その場合、何が起きるのでしょうか。

 まず、国債の市場価格が暴落し、長期金利が急騰し、国の予算が組めず、財政が破綻します。公的年金が大幅に減額されるでしょう。そして、猛烈なインフレ、円安が進行します。企業や個人資金の海外逃避を防ぐために預金封鎖が実施され、毎月あるいは毎週一定額以上は引き出せなくなり、生活資金にも困る可能性があります。

 多くの国民は、国債など買ったことがないからといって、安心していられないのです。

   制作・川北隆雄

  デザイン・佐藤圭美

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