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【生活図鑑】

労働契約法改正案(No.401) 有期で5年超働けば無期雇用へ

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 パートなど有期雇用で働く人が、契約を更新して通算5年を超えた場合、本人の申し込みによって期間の定めがない(無期)雇用となることを義務づけた労働契約法改正案が国会にお提出されました。また、原則6カ月以上のクーリング(空白)期間があれば通算契約期間がリセットされる仕組みも導入しました。一方、有期雇用と無期雇用(正社員など)との待遇格差の禁止も盛り込まれました。

 労働契約法改正案のポイントは(1)同じ事業主による有期雇用が五年を超える場合、労働者側の申し込みで無期雇用になる(2)契約を反復更新し、無期契約と実質的に変わらない有期労働者などは、合理的な理由がなければ雇い止めできないとすることを初めて法律で明文化(3)有期と無期労働者との待遇に不合理な格差を設けてはならない−などです。

●申し込み周知徹底を

 具体的に見てみましょう。まず、国会審議を経て法律が施行(成立から施行まで約一年)された場合、既に有期雇用で五年を超えて同じ事業所などで働いている人は、申し込みで無期雇用になるのでしょうか。 

 法律では、施行後から有期の年数を計算することになり、施行前の勤続年数は対象になりません。無期雇用への転換は施行後、五年を経過しなければなりません。また、申し込みをしなければ無期雇用への転換は実現しません。では、いつ申し込む必要があるのでしょうか。

 一般的には、五年を超えてから申し込みできると思われがちです。しかし、例えば二年契約で更新してきた労働者の場合、三回目の契約途中で五年を超えるため、三回目の契約期間中なら申し込みできます。

 申し込みを忘れていても、有期契約が更新されていれば、そこで申し込みができます。

 しかし、契約が更新されなかった場合、勤続五年を超えたとしても、申し込み権が消滅します。救済には、不当な雇い止めに当たるとして裁判などに訴える必要も出てきます。

 労働者がいつ、どのように申し込むかなど、周知徹底の必要があります。五年を超える契約時には、申し込みを行える旨を契約書に明示する必要性も指摘されています。

●労働条件はそのまま

 無期に転換する場合の労働条件はどうなるのでしょうか。有期契約と同一でよいとされました。通常、有期雇用の労働条件は、無期より劣っていると考えられます。さらに別段の定めで労働条件の切り下げの可能性もあります。これは、法案が不安定雇用の有期から、無期への転換に主眼を置いたためです。

 無期雇用になれば、有給休暇などの取得や、組合加入もしやすくなります。また、同じ無期雇用である正社員と処遇などに大きな格差があれば、職場で問題になります。この場合、労使交渉によって労働条件を改善できるとみられています。でなければ、労働組合の存在意義が問われます。

●新たな制度で懸念も

 原則として六カ月以上、同一の労働者と企業が契約をしない「クーリング期間」を置くと、それまでの有期雇用期間が通算契約期間に入らない制度も設けました。これにより、通算五年を超える有期契約前に、クーリング期間を設ける企業が出るのではないかとの懸念も出ています。

 さらに、クーリング期間だけ関連会社での有期雇用を強いたり、資本関係のない派遣会社間で移籍させるといった脱法行為も懸念されます。社会的責任を重んじる日本の経営者では考えられないとは思いますが…。

 法案では施行から八年後に内容を見直す予定です。必要なら、こういった点を含め有期雇用の規制を考える必要がありそうです。

    制作・亀岡秀人

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